出版社内容情報
この空の下、つながっている誰かがきっといる――2012年度本屋大賞第3位『ピエタ』の著者が描く、子供たちの四季の物語。
内容説明
年も押し迫った十二月。アリサの日課は、斜向かいのビルの取り壊しを家の窓から眺めることだ。そんなとき、同じクラスのニシダくんが、桜の枯れ木の下に立っているのを発見。道路にある「人間のカタチのスイッチ」に誰かの影がはまってしまうと来年がやってこないので、見張っているというのだが…。“変わり者”の小学生ふたりが過ごす一年間。著者の隠れた名作が、ボーナストラックを収録して待望の文庫化。
著者等紹介
大島真寿美[オオシママスミ]
1962年愛知県生まれ。92年「春の手品師」で第74回文學界新人賞を受賞。『宙の家』で単行本デビュー。著書に、2012年度本屋大賞第3位に輝いた『ピエタ』(ポプラ社)ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
137
直木賞作家・大島真寿美さんの一風変わった児童文学の秀作です。マンションの窓からビルの取り壊し作業を毎日飽きずに見て楽しむ小学生の女の子ゴジョウガワラアリサと人間のカタチのスイッチに誰かの影がはまると来年が来なくなると固く信じて年の瀬から見張りを続ける同級生のニシダくんの変てこな二人のゆるいけど確かな友情物語です。人間の価値観は人それぞれで変わっているからと阻害するのでなく「ああそんな考え方もあるのだな」と個性を認める事が大切だと本書は教えてくれますね。「線路は続くよ どこまでも」をBGMに読みましょうね。2019/09/05
七色一味
38
読破。ニシダくんとアリサ、ふたりの目線から見た世界は、なんともフシギ。大人の目線からでは、子どもたちが何を捉え、何を思っているのかはうかがい知れないない。ニシダくんが見ていた人間のカタチのスイッチって、どんなスイッチなんだろう。大きくなったふたりに、子供の時のようなフシギな目線は、まだあるのかな。2014/01/26
わった
22
繊細で素晴らしい作品です。子どもたちが密かに抱えている荷物の中身と、その影響について書かれています。私は鈍感力の塊のような子どもだったので共感はできませんが、気持ちは少しだけ理解できました。そして苦しくなります。日本全国でこんな思いを抱えている子はどのくらいいるんだろう。大人に理解されずにさらに苦しんでいる子もいるはずです。後書きを除けば、小学校中・高学年でも読めると思います。これを読んで気持ちが軽くなる子もいるでしょう。幅広く読んでもらい知ってほしいです。2016/02/21
Risuke Koshiba
16
小学生の女の子と男の子の交流の物語。少し変わっているふたりだけど、やりとりが面白い。ふたりとも自然体で相手を受け入れていて、優しい世界だ。大人が読んでも面白いし、素晴らしい作家だと思う。2025/01/08
もぺっと
16
児童文学なのであっさりしてますが、アリサとニシダくん、二人のやりとりがいいな。小学生といえども、抱えてるものがたくさんあるみたいな二人。幸せな未来があるといいなと思っていたら、最後あとがきのような後日談があり、それがこの物語に深みを出していて、とてもよかったです。2014/12/08