内容説明
都会の片隅に真夜中にだけ開く不思議なパン屋さんがあった。オーナーの暮林、パン職人の弘基、居候女子高生の希実は、可愛いお客様による焼きたてパン万引事件に端を発した、失綜騒動へと巻き込まれていく…。期待の新鋭が描く、ほろ苦さと甘酸っぱさに心が満ちる物語。
著者等紹介
大沼紀子[オオヌマノリコ]
1975年、岐阜県生まれ。脚本家として活躍する傍ら、2005年に「ゆくとしくるとし」で第9回坊っちゃん文学賞大賞を受賞し小説家としてデビュー。2010年に初の長編作品『ばら色タイムカプセル』で注目を集める、期待の新鋭(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
抹茶モナカ
950
読みやすく、人生の機微も織り込まれていて、良かった。斑目さんを理解する弘基くんのストーカー気質まで包み込む温かさ。何故、真夜中に営業しているのかは語られなかったけど、謎のない文芸なんてないしね。2013/10/07
kishikan
942
このところ、読メや本屋さんで人気筋の本を手にしているため、初読みの作家さんに出会うことが多い。本書の大沼さんもそう。繁華街の深夜に開店するパン屋さんを舞台にしたところが、まず面白く読み進める。登場人物それぞれが複雑な過去を背負い、でもその経験からパン屋さんを訪れるお客さんを支えていくというストーリーに優しさを感じる。ちょっと有川さんの文体に似ているなと思いながらも、パン作りの工程に、人の生き方を重ね合わせているところなど、パン好きの人にも魅力的な小説。希実ちゃん、そして、こだま君がいじらしくて可愛い!2011/11/23
射手座の天使あきちゃん
923
どこからともなく漂ってくるバターの甘い香り、お腹「ぎゅー」と鳴る香ばしい焼き立てパンの芳香 美味しそうなパン屋さんを舞台に繰り広げられる人間ドラマ、登場人物は誰もが辛い過去を持ち、厳しい現実と向き合っています、だからこそお互いを思いやり支えあって生きるのですね! あぁ、いい話だねぇ、泣けちゃいました!! (/_;)2012/02/21
忠犬じろレポ
914
初大沼作品。心温まる作品ですね。もちろん登場人物は癖がありますが、生い立ち等が影響している訳ですよね。深夜営業のパン屋に来る珍客が個性豊かでエピソードも面白い。1巻なので主要な登場人物の過去のエピソードが多かったですがよくあるパターンでした。希美ちゃんは、いい所に収まりましたね。次巻以降が楽しみです。(^―^) 運良く2巻3巻が手に入ったのでよかった。(^O^)2013/06/14
hiro
900
文庫週間ランキングでも20位以内に入り、今評判の『まよパン』。平積みされていた最後の一冊を購入。托卵された女子高生、そしてその卵を受け入れる妻を亡くしたパン屋のオーナーとパン職人、そしてストーカー、ニューハーフ、ネグレクトの母親と小学生とバラエティ に飛んだすこし“歪んだ”登場人物達。ちょっと出来過ぎだと思うけれど、その登場人物達の心の通った暖かい作品。「歪んだからって、一生同じように歪み続けるとは限らんし。世の中には、直線の人間の方が少なかったりもするでな」というクレさんの言葉がわかるような作品だった。2011/09/06