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百年文庫

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  • サイズ B40判/ページ数 149p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591121719
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

働きづめの五十年、「貧乏たれ」の人生を倅に味わわせるのは忍びない、と息子の中学受験を決意した源作。だが聞きつけた連中は分不相応と悪口を言い…。村の因習に翻弄される切ない親心(黒島伝治『電報』ほか一篇)。馬の腹から出た石はどうやら貴重なお宝らしい。噂を聞いた三造は取り戻そうと躍起になって…(葛西善蔵『馬糞石』)。土地ころがしに票集め、詐欺まがいの裁判沙汰。巧妙にして鮮やかな次郎の悪人ぶりと、農村の退廃を描く杉浦明平『泥芝居』。欲望、噂、猜疑心。濃密な人間関係が浮き彫りになる。

著者等紹介

黒島伝治[クロシマデンジ]
1898‐1943。香川県小豆島生まれ。早稲田大学入学後、シベリアに出兵。帰還後はプロレタリア文学運動に参加、農民小説や反戦小説で作家の地位を確立した

葛西善蔵[カサイゼンゾウ]
1887‐1928。いくつもの職を転々とした後、徳田秋声に師事。1918年の『子をつれて』で注目を浴びる。貧窮と病苦にさいなまれながら、破滅型の自虐的な私小説を執筆した

杉浦明平[スギウラミンペイ]
1913‐2001。愛知県生まれ。10代で「アララギ」に入会。戦後は郷里の渥美半島に居を定めて、『ノリソダ騒動記』などの記録文学を執筆。ルネッサンス研究の分野でも活躍した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

モモ

43
黒島伝治『電報』息子を自分のような貧乏にさせたくないと、中学校へ進学させようとする源作。それを阻止させようとする村の衆。あまりの醜さに言葉を失う。そして最後は酷い、酷すぎる。なんでそうなるんだ!『豚群』これまた醜い話。葛西善蔵『馬糞石』馬の結石?が高く売れるものだというところからの醜い話。杉浦明平『泥芝居』強欲の次郎が町会議員となり、その立場を悪用して私腹を肥やしていく。醜い奴の醜い話。関わる人たちが気の毒。選挙は大事。「村」というよりも「醜」がぴったりな一冊でした。再読はしたくない。2022/10/11

臨床心理士 いるかくん

37
3人の作家の作品から成るアンソロジー。村に生きているからといってすべての人が善人のはずは無い。都会に住む人々と同じように。2014/12/18

マッキー

21
田舎ならではの閉鎖性とか、陰湿なものが感じられる短編集だった。噂、悪口、貧困、騙しあい、詐欺・・・。濃い内容です。2017/11/23

TSUBASA

19
百姓のせがれが受験をするという噂が広まる。子供には偉くなって貧乏から逃れて欲しいと思う親だったが、村人の嫌味はお構いなしなのであった。黒島伝治『電報』他一編。三造が飼っていた馬が死に、腹の中から石が出て来た。一度は石を獣医に渡すが、値打ちものだと聴き、取り戻そうと奔走する。葛西善蔵『馬糞石』。汚職、詐欺などで村の金を巻き上げる次郎の悪党ぶりを描く、杉浦明平『泥芝居』収録。村という狭い社会の中ではわずかな情報を、道徳観なぞ脇において上手く利用出来るものが成り上がるわけですな。そりゃどの世界でも変わらないか。2016/01/28

14
浦明平「泥芝居」黒島伝治「電報」「豚群」、葛西善蔵「馬糞石」なんかもうタイトルがえげつない、封建的閉鎖的な村社会を描いた短編4つ。「豚群」が地主が小作料の代わりに豚を差押えようとしてて、小作人たちが豚を野に放ち、持ち主が誰かわからなくしちゃって抵抗しようという…、でも村人の中には畑荒らされるかもしんないから、やるやるいうだけいっといて、放さなかったり…、差押の札を小屋の入り口に貼られたらどうせ取られるからって豚に餌やんなくなっちゃったり…、ハンニバルだったり…、えげつねえ。2022/05/28

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