百年文庫

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  • サイズ B40判/ページ数 145p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591121320
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

年老いた王の美しいひとり娘が、ある日、忽然と姿を消した―。伝説の地を舞台にくりひろげられる清らかな恋の物語(ノヴァーリス『アトランティス物語』)。秋の日に枯葉のささやきが教えてくれた天地をめぐる生命の話(ベッケル『枯葉』)。火山の噴火で埋もれたポンペイの遺跡を訪ねた青年オクタヴィヤンは、溶岩に美しい痕跡を遺した女性に二千年の時をこえて心を奪われていく(ゴーチエ『ポンペイ夜話』)。ロマンティシズムの詩想が誘う、もうひとつの心の宇宙。

著者等紹介

ノヴァーリス[ノヴァーリス][Novalis]
1772‐1801。ドイツ・ハルツ地方の貴族の家に生まれた。イェーナ大学在学中にシラーと出会う。フィヒテ哲学や自然科学の研究と共に運命の恋人ゾフィーと死別した体験が後にドイツロマン主義の精華とうたわれる『青い花』や『夜の讃歌』の土壌となった

ベッケル[ベッケル][Becquer,Gustavo Adolfo]
1836‐1870。スペインの国民的詩人・作家。詩人を夢みてマドリードに出るが、知人に預けていた詩が出版を目前に紛失。記憶をもとに復活させた手稿が死後、友人の手によって出版された

ゴーチエ[ゴーチエ][Gautier,Theophile]
1811‐1872。フランスの小説家。南フランスに生まれ、3歳からパリに暮らす。ロマン主義文学の興隆期にユゴーと出会い、画家になる志を文学に転じ、劇評などで活躍。長篇『モーパン嬢』『キャピテン・フラカス』や幻想的な短篇小説で新境地を開き、ボードレールやワイルドらに影響を与えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

120
ヨーロッパ各国のロマン派の短編を味わえる贅沢な短編集。ノヴァーリスの「アトランティス物語」はこの作家らしい、気高く清らかな物語。ここで描かれている恋愛は、成就することがなかったノヴァーリスとゾフィーの恋が昇華されたものような気がした。そう考えると切ない気持ちになる。ベッケルの「枯葉」は繊細な自然の描写が美しい。木の葉同士の会話がいかにもロマン派的だ。ゴーチェの「ポンペイ夜話」はプロットの妙味を味わえる作品。前半の色彩豊かなポンペイの描写が溜息の出るほど美しい。ほろ苦い結末が心に残った。2018/05/13

アン

82
絢爛たる宮廷を営む年老いた国王の娘と翁の息子の運命的な出逢い。甘美な陶酔と秘められた愛、姿を消した娘への国王の嘆きと希望、心からの情愛が胸に迫る『アトランティス物語』ノヴァーリス。秋の夕暮れ時、二ひらの枯葉が語り合う巡りゆく季節。繊細な情景描写、愛の営みの儚さや一瞬の輝きは美しくも夢のようで物哀しい『枯葉』ベッケル。ポンペイの遺跡を訪ねた青年は、熔岩に麗しい痕跡を遺した女性に2千年の時と生命を超越して恍惚となり、神秘な空間へ迷い込むが…『ポンペイ夜話』ゴーチェ。めぐり逢いの不思議さを詩情豊かに幻想的に。 2023/10/12

モモ

50
ノヴァーリス『アトランティス物語』国王の一人娘が恋に落ちる。王女の相手は聡明な翁の息子。最後の場面が感動的。12歳のゾフィーと恋に落ちたノヴァーリスが興味深い。ベッケル『枯葉』枯葉が思い出を語り合う。みずみずしく風にそよいでいた頃など、文章がすごく美しくて好み。ゴーチェ『ポンペイ夜話』フランス人オクタヴィヤンが死都ポンペイを旅し、美しい痕跡を遺した女性に恋する。オクタヴィヤンはポンペイにタイムスリップするも…。200年前のフランス人と2000年前のポンペイの人が見つめ合う面白さ。百年文庫の中で好みの一冊。2023/01/11

神太郎

35
今回のは個人的にはやや詩的というかファンタジー要素が強かった印象だ。アトランティスを舞台にした恋の物語。アトランティス物語。ゴーチェの2000年前のポンペイの遺跡に痕跡を残す女性に恋をしたポンペイ夜話。これらは実際そうだったのかわからないが、そうだったかもしれぬという要素がある。後者はやや病的でもあるが……。ペッケルの枯葉はいまいちよくわからなかったが、枯葉の会話には面白いものがあった。三篇いずれも作者の想像力に酔いしれる作品群だった。2019/11/09

臨床心理士 いるかくん

28
3篇から成るアンソロジー。ポンペイの博物館に行くうちに自身もポンペイの住人と化し、ポンペイの女性に魅かれていく幻想譚、ゴーチェ「ポンペイ夜話」が好み。2014/02/17

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