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百年文庫  49

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  • サイズ B6判/ページ数 144p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591119310
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

想像力で食べたこともない旨そうな食べ物の話をし、雑誌に記事まで書いていた夫。役所の戸籍係だった亡夫を「食べもの」で回想する矢田津世子の『茶粥の記』(ほか一篇)。一代で財をなした稀代の吝稟家がはじめて客をまねいた珍妙な茶会(藤沢桓夫『茶人』)。商売は家の者に任せきりで金の無心ばかりしてくる夫。妻は苛立ち、家族の手前、恥ずかしくてならないが…。道頓堀の夜景ににじむ夫婦の情が愛しい上司小剣の『鱧の皮』。食べものの思い出が織りなす、味わいの四篇。

著者等紹介

矢田津世子[ヤダツセコ]
1907‐1944。秋田に生まれ、9歳のとき一家で東京に移住。麹町高等女学校卒業後に「女人芸術」で活躍し、1936年『神楽坂』が芥川賞候補に。文才と美貌に恵まれたが、37歳で死去した

藤沢桓夫[フジサワタケオ]
1904‐1989。大阪府・備後町生まれ。学生時代から同人誌「辻馬車」に作品を発表。1925年の『首』で横光利一ら新感覚派の作家に認められる。東大卒業後、大阪を拠点に創作活動を続けた

上司小剣[カミツカサショウケン]
1874‐1947。奈良市生まれ。本名は延貴。代々神主の家系に生まれ、読売新聞社で記者の傍ら作家活動をする。自然主義文学者や社会主義者と交流し、1914年、道頓堀を舞台にした『鱧の皮』で高い評価を得る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

モモ

45
矢田津世子『茶粥の記』食べたこともないのに美味しそうな体験談を語る夫が亡くなった。鳥取の夏牡蠣、輪島産の鮑などの体験談がどれも本当に美味しそう。夫との思い出が残る家を出て、姑とともに郷里の秋田に引き上げる清子の心情がせつない。『万年青』隠居の財産にむらがる輩と良い孫嫁。藤沢桓夫『茶人』ケチで有名な七宮さんが茶会をひらくも、出される料理に一同絶句。上司小剣『鱧の皮』仕事せず借金ばかりの、うなぎ屋の放蕩婿。でもなぜか妻は見捨てない…。矢田津世子さんの他の本も読んでみたい。まさに、どの話も食と人生を感じる一冊。2022/08/02

神太郎

35
今回は「ご飯」にまつわるお話。矢田津世子の2編、どちらも好きな話でした。この方のほかの作品も読みたいな。「茶人」はケチな奴からなんとか一本取ろうとするが、そのさらに上をいくけちん坊。少し腹くそ悪くなるけどね・・・、こういうけちん坊は。「鱧の皮」。こちらは夫婦の物語なんだが、男がどうもね~。なんでそんな奴に捕まってしまったのやら…。それでも色々と考えている妻の姿がなんともいえぬ。哀愁にも近いものを感じます。2018/02/11

臨床心理士 いるかくん

29
「膳」をテーマにした4篇から成るアンソロジー。矢田津世子の「万年青」がとてもいいですね。2014/01/22

19
矢田津世子「茶釜の記」「万年青」藤沢恒夫「茶人」上司小「鱧の皮」の4編。茶釜の記で、食通を気取る亡き夫であり、息子の食卓を囲んで偲ぶ姑と妻のやりとりがよかった。同じ食卓を囲み、同じものを食べるうちに、分かりあってくるものってやっぱりあるよなあ。2021/04/25

マッキー

18
食べたことのない料理を想像で語る夫を回想する「茶粥の記」が見事だった。その食材のみずみずしい描写は思わず唾液が出てくるようである。妻が亡き夫が昔書いた食べ物に関する記事を見て「嘘ばっかり、嘘ばっかり」と言う場面はしんみりする。感情的になった妻に同情してしまった。2016/12/17

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