百年文庫

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  • サイズ B6判/ページ数 134p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784591119037
  • NDC分類 908.3
  • Cコード C0393

内容説明

身近な人たちのために働き続けたレナは、生涯、独身だった。平凡な女性が「まるで英雄」のような死を迎えるまでを描いたシュトルムの『レナ・ヴィース』。売れない画家「ベアマン爺さん」が若い命をつなぐために成し遂げた愛の仕事(オー・ヘンリ『最後の一葉』)。両親の顔も知らずに路地裏で育ったクリスチーネは、水汲み、洗濯、子守りなどをしながら人間の醜さばかりをみて暮らす。そんな女性が罪と絶望の果てに人間愛を知るヴァッサーマンの『お守り』。熱い涙が溢れる三篇。

著者等紹介

シュトルム[シュトルム][Storm,Theodor]
1817‐1888。ドイツの小説家、詩人、法律家。生涯の大半を法律家として過ごしながら、若い頃から創作活動を行なって、哀愁と情趣に満ちた短篇を残した

ヘンリ,オー[ヘンリ,オー][Henry,O.]
1862‐1910。アメリカの小説家。本名ウィリアム・シドニー・ポーター。36歳のとき、横領罪で有罪判決を受け、服役中にオー・ヘンリの筆名で短篇を書き始める。出所後、市民の哀歓を描いた作品が人気を呼ぶ

ヴァッサーマン[ヴァッサーマン][Wassermann,Jakob]
1873‐1934。ドイツのユダヤ系作家。少年時代から文学に親しみ、リルケ、ホーフマンスタール、トーマス・マンらと交流。1897年の『ツィルンドルフのユダヤ人』で注目され、理想を求めて苦闘する人々を描いて人気を得た(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

116
「命」をテーマにした3つの短編。ずっしりと重たい手応えが残る。オー・ヘンリの「最後の一葉」は老画家の命を賭けた奮闘が感動的。ヴァッサーマンの「お守り」は絶望の果てにわずかな救いが示されるところが良かった。シュルトムの「レナ・ヴィース」が一番の好み。平凡の女性の人生の中にある輝きをドイツ文学らしい香気の感じられる文体で描いて、読み手の心に強い印象を残す。2015/01/04

ケイ

81
『レナ・ヴィース』彼女の潔く、明るく、強い生き方が読んでいて清々しい。例え辛い病気に蝕まれても、心の強さと美しさはビクともしないのだ。『最後の一葉』すっかり知っているつもりでいた。娘が死ぬゆくおじいさんのためにしたことだと。なんてこと!本当の話はもっとずっと素敵だった。どこにも悲劇の入る隙はない。とどまった者も去る者も、みんな幸せだと思うから。『お守り』どこまでいっても悲惨なお話は欧州によくあるが、貧しさからくる無知はこうも不運を引き寄せるのだろうか。最後の一瞬の幸せだけのためなら、私はお守りはいらない。2015/01/07

風眠

60
どんな苦境にあっても、人は日々を生き抜き、人生を終える。誰かを支え、誰かに支えられ、生きて、死んでゆく。歴史に名を残すような人ではなくとも、人は、何かを、誰かに、託して死んでゆきたいと願うものなのだと感じた。『最後の一葉』(オー・ヘンリ)は、子どもの頃に簡単バージョンを読んだけれど、原作を読んだのは初めて。ただの感動物語ではなかった事、生と死のあっけなさのようなものが描かれている事、軽い衝撃だった。解説でオー・ヘンリの激動すぎる人生(獄中で執筆、酒に溺れる等)を知り、言葉にならない感情でぐるぐるしている。2018/09/16

えみ

59
どんな瞬間にその命に使命を与え、輝かせ、どんな決意をしてその命を使い切るのだろう。予想もできないほどの不変の愛が、この世の悲しみをほんの少しだけマシなものに変えてくれる。そんな物語。ひとりひとりの命の温度を文字として描かれ、届けてくれる3篇の短編を収録した『命』。百年文庫シリーズ第21弾。平凡な女性の死にも物語があった、シュトルムの『レナ・ヴィース』。究極のメッセージをその命で描いた、オー・ヘンリの『最後の一葉』。冷酷非情な運命に愛を照らした、ヴァッサーマンの『お守り』。命の限り人生を見つめた清き一冊。2023/01/29

モリー

53
ヴァッサーマンの「お守り」が、私にとっては衝撃でした。もがき、苦しみながら生きるしかない人生にも意味はあるのでしょうか。読むことに没頭していたので、直後の今は言葉が出ません。2023/07/09

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