内容説明
1990年11月。小説家、舞台の作・演出家、そして小学生の息子の母として、まさに人生を謳歌していた37歳の「私」を乳ガンが襲った―闘病の日々と心情のすべてを濃密に綴り、読者に衝撃を与えた手記が蘇る。書き下ろし「文庫版あとがき」を併録。
目次
霹靂
宣告
入院
手術
試練
経過
退院
一年後
エピローグ アマゾネスたちへ
著者等紹介
中島梓[ナカジマアズサ]
1953年生まれ。『コミュニケーション不全症候群』をはじめ、鋭い社会批評で知られる評論家。作詞作曲、ピアノ演奏、ミュージカルの脚本・演出を手がけるほか、小説家・栗本薫として『グイン・サーガ』『魔界水滸伝』『伊集院大介』シリーズなど多くのヒット作を持つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミナコ@灯れ松明の火
16
中島さんが手術を受けた時から10年以上の時を経て、治療方法は変わってきたかもしれません。けれど、ガンだと言われた本人にしか分からないだろう焦燥感や圧迫感、それに対抗しようとする心構えはどれだけの時を経てもそのまま。病気を書いてはいるけれど闘病記っぽくないところもいいなあ、と思う。合掌。2011/08/04
春風
7
全篇を通して自分は強運であり「神に特別に守られている」という確信と、死ぬまでに一冊でも多く書かなければならない、という決意が何度となく語られる特異な乳ガン闘病記。ガンを患っても揺るぐことのないこの確信の源泉と、なぜそれを自分に言い聞かせるように何度も繰り返すのかが、私にとっての作家・栗本薫の謎。2012/01/22
みーすけ
4
昔、単行本で読んでいたけど購入。 当時、息子さんはまだ7歳だったのか。「転移」「ガン病棟の・・」とどれも生きる力と有り余るパワーを感じる。なのにと思うと返す返すも残念です。2011/12/16
moe
3
再読。栗本薫の乳がん闘病記。乳がんで亡くなった友を思い、つい読み返してしまいました。2019/02/17
kemonoda
3
中島梓さん(栗本薫さん)の1990年の闘病記(乳癌)。発病当時、梓さんは「ミュージカル・マグノリアの海賊」の稽古中であり、この本を初版で、読んだときはわからなかったけど、今のように芝居(ミュージカル)の裏方で食っている身となって読むと、作・演出・作曲家が癌で手術・入院しながらも舞台を創り続けるというこの手記に「癌との戦い」とは別に意味で思うとこありました。尚、このミュージカルを僕は学生時代に観ていて、シアターアプルのロビーで中島梓さんの姿もお見かけしました。すごいパワーとともに暗雲を感じた記憶があります。2013/01/18