内容説明
僕のあだ名はロビンソン。ホテルみたいな巨大な家に家庭教師と二人だけで住んでいる。そこに家出少年や少女、失業中の大人が転がり込み奇妙な共同生活が始まった。異才・中村葉子の小説第2弾。
著者等紹介
中村葉子[ナカムラヨウコ]
1971年生まれ。2005年、『トンちゃん』で小説デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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野のこ
14
槍の形をした柵、ギーっと嫌な音がして門が開く。「お化け屋敷のような」たたずまい。16の部屋のある家で僕と一度も教えてくれたことのない家庭教師と住む。兄弟がいたら良いのにと一つ一つの部屋に名前をつける。天狗のお面を付けた兄ラリルレロのようが想像の人物のようにぼく自身も不確か、13才なのに学校は?両親は?とぞろ目の時間ははっきりしているのに肝心な部分は最後まで謎だらけ。とりあえずのサンドイッチパーティ、アボガド今回は熟してますように。私はなっちゃんのつかみ所のないおしゃべりがある限り大丈夫だと思いました。2016/12/25
まろすけ
3
神がかった鬼作『トンちゃん』ほどのインパクトはないが、本書も十分に素晴らしい小説でした。一言で言えば【不穏な】小説。本書もトンちゃんも、基本は多声ではなくモノローグ構造(元々詩人ですしね)。トンちゃんに比べ本書のほうが(一見)物語性が強く、著者お得意の夢想を内的独白の語りで綴るスタイルも適所で行空けして読みやすくしてある。無垢と狂気と感傷さを孕んだ夢想的な語りで現実を融解させる力を持つ稀有な作家さんと思うのだが。新作はもう出ないのかなあ。(蛇足ですが、コメント欄に本書の解釈を記載。既読の方だけ、よければ)2018/09/01
surf
0
難解だ。途中からホラーかと思ったが違った。ロビンソンが語る住人は、ロビンソン自体の心を表しているのかな。そんな心の病から救おうと三郎さんも試みるが、逆に引き込まれそうになってしまう。不思議な話だが、色彩表現が多く、読んでいて心地よかった。図書館の本。2016/12/06
akiko
0
心の風景に、名前はつけられない。感じ。2011/02/18
ななさと
0
空想と現実の境界はひどく曖昧なものなのかもしれない。2009/10/28