出版社内容情報
創作読み物(小学)
ドンチャンがいじめにあっている。それなのに,ぼくはしらんぷり。そのことが心にいたい!揺れる少年の心情を描いた長編絵本。
課題図書小学校高学年の部
内容説明
ドンチャンがまたいじめにあっている。ヤラガセたち4人組は、ドンチャンの画用紙の上に、手伝ってやるなんていいながら、えのぐをぬりたくっている。ドンチャンは、だまってやられるままになっている。ぼくとセイヤとヨッチンは、絵を描くのに一生懸命…なのだ、というふりを、一生懸命にしているだけ。口にだしたら、こんどはこっちがやばいからだ。しらんぷりを続けるぼくたち…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
72
絵本とはいえ、この長さと分厚さには圧倒される。いじめがテーマだが、周囲でしらんぷりを決め込むことの恐ろしさを告発する内容。「言えばいいのに」いや、言えない。いじめる側はいつも監視している。仕返しを恐れること、本人の弱さを、責めることができるのか? みんなの目の前で恥をかかされること、悪事に引き入れられること、陰湿さに目を覆いたくなるほどだ。先生に隠れてやるから、気がつかれない。いじめられる方が力を尽くしていかねばならないのは、理不尽だけど現実にはふつうに多いのだろう。あえて書かないが、結末はリアルである。2020/03/18
s-kozy
69
小6のクラスに起こったいじめを扱ったとても児童書とは思えないような重たい内容の力作絵本。219ページものヴォリュームがある。「自分がいじめられるようになるから」といじめを見て見ぬふりをする主人公。やがていじめる側にもいじめられる側にも変化が訪れ、卒業の日を迎える。主人公はどんな選択をするのか、息を呑んで結末を迎えた。いじめというものは一筋縄では解決する問題ではないことを十二分に表現した一冊。このご夫婦の共作絵本では「ゆきみち」が好きだなぁ。2014/08/30
かおりんご
51
読み聞かせ(245)いやぁ、長かった!読んでる方が辛くなるくらい、重いわ、長いわ・・・いじめの話をしたくて読んだけれど、この半分くらいがいいなと思いました。二年生なりに、色々考えてくれたようではありますが。しらんぷりは、よくないですね。2014/12/11
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
50
図書館で見つけて再読してみました。白黒の絵と話の内容がピッタリでずっしりと重い。いじめを知りつつ傍観者の男の子の話。自分が親として子供に相談されたらどうするだろう・・・。そして実際、自分がこの子の立場だったら・・。私は小6の時、いじめをしていた子を注意して、翌日からクラスの女子全身に無視された経験があります。1ヵ月続き誰にも相談せず耐えました。結局、傍観者となっていたクラスの子達が謝ってきて事なきを得たのですが、子供は子供の世界があって、いじめは本当に難しい問題だな~と思います。2018/06/13
けんとまん1007
44
いじめ。見ていて、しらんぷりをするのは、いじめと同じこと。そんな時の勇気。いじめる側も、その背景にあるのは、いろいろ。いろんなことを考えさせられる1冊。独特の絵のタッチが、いっそう、こころに響いてくる。この本のテーマは、今も、いろんな場面で当てはまるのだと思う。2020/03/25