出版社内容情報
さまざまな政策課題にどう対応すべきか、という政策の望ましさについての価値対立は避けられない。この「価値対立の不可避性」という観点から考える公共政策論の入門書。価値の対立の構図を、具体的な政策課題に言及しながら明らかにし、政策をめぐる対立の解消ないしは合意形成をいかに実現するかを考察する。
目次
公共政策と価値対立―答えは1つではない
福祉政策―多くの対立軸と合意形成の難しさ
教育政策―公益と個人の幸福は両立するのか
経済政策―複眼的思考の先にみえるグランドデザイン
農業政策―日本に農業はいらないのか
公共事業・公共交通政策―持続可能な社会に向けて
エネルギー政策―3Eのトリレンマを超えて
ICT政策―情報社会における個人情報の保護と活用
外交・安全保障政策―4つの対立軸
移民政策―社会統合政策との関連から
公共政策と政府間関係―中央集権か地方分権か
公共政策と予算配分―少子高齢化社会に対応して
価値対立と合意形成―合意形成をあきらめない
著者等紹介
松田憲忠[マツダノリタダ]
青山学院大学法学部教授
三田妃路佳[ミタヒロカ]
宇都宮大学地域デザイン科学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kk
3
良書。主要な問題における公共政策の策定、検討にあたっての2つの対立軸についての紹介。2021/01/21
kesu
1
最も考えさせられたのは、いくらEBPMが浸透しようともエビデンスの評価軸は結局個々人の「価値判断」に委ねられているという事実である。真の意味で「価値自由」状態になり得ないのなら「自分は中立だ」などと思うのではなく、誰しも考え方に偏りがあることに自覚的になる方がよい。そうすれば、異なる他者を一方的に排除することはなくなる。対立が生まれる以上、唯一絶対の政策などない。行政政策は失敗は許されない風潮があるようだ。しかし、そうではなく、「熟議」を重ね修正をしつつ徐々に合意形成に近づいていく方が建設的だと思った。2022/08/02