出版社内容情報
「学問の府」であるはずの大学が、いまサバイバル時代を迎え危機に瀕している。その危機のほころびとして大学権力が教員を排除するリアルな実態とその深刻さを問うとともに、本来の大学の公的役割や倫理の構築を提言する。
目次
序章 大学教授とは何か?
第1章 明治学院大学「授業盗聴」事件とその後
第2章 大学人の理性の「公的使用」
第3章 国立大学法人化による教授会運営の変化―教育学部を例として
第4章 岡山短期大学「障害者差別」事件
終章 人間学的“学問の自由”を求めて―軍産官学連携への警鐘
著者等紹介
寄川条路[ヨリカワジョウジ]
明治学院大学教養教育センター教授。1961年生。専攻は哲学・倫理学
石塚正英[イシズカマサヒデ]
東京電機大学理工学部教授。1949年生。専攻は社会哲学
小川仁志[オガワヒトシ]
山口大学国際総合科学部教授。1970年生。専攻は公共哲学
野中善政[ノナカヨシマサ]
宮崎大学名誉教授。1947年生。専攻は環境学
福吉勝男[フクヨシマサオ]
名古屋市立大学名誉教授。1943年生。専攻は哲学・倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きぬりん
1
大学の建学精神に対する授業内での批判的な言辞により当局に睨まれ、授業の盗聴・無断録音を告発した結果、解雇されるに至った編者の事件を、現在の大学が直面する学問・教育・自由の危機として拡張・焦点化するブックレット。編者の事件の顛末記や編者に対する応援のほか、国立大独法化以降の教授会の自治の減退(不透明なアカハラ処分)を問う論考、視覚障害者教員が授業担当を外され研究室退去を命じられた事件とその顛末、軍民両用研究振興の風潮に抗して、単なる研究者倫理のレベルにとどまらない文明論的倫理の重要性を説く論考を収録。2025/02/26
星辺気楽
0
現代の大学が権力によってその存在を否定され続けていく現状のルポ。2019/11/08