内容説明
今日、行政訴訟の裁判所への訴え提起件数が増加しないため、行政訴訟法の改革論が、日弁連をはじめとして論じられている。行政訴訟や国家賠償訴訟の件数が増加するためには、まず、訴訟を提起しようとする原告、およびこれを支援する人々が増加することが必要で、そのためには原告が勝訴するか、仮に敗訴しても、訴訟を提起したことにより、行政庁にインパクトを与える等の効果が生じなければならない。そして裁判所は、原・被告からみて納得性のある判決をすることが必要である。本書は、先に出版した『行政訴訟と国家賠償』の出版後に執筆した論文を集めたものである。
目次
1 行政訴訟の管轄
2 行政訴訟の訴訟形式(原発訴訟の審理方式;取消訴訟の口頭弁論終結後に追加的に併合提起された損害賠償請求の訴えは、不適法として却下すべきであり、独立の訴えとして取扱うべきではないとした事例;損失補償等の訴えの変更の適否 ほか)
3 国・行政庁を相手方とする仮処分
4 行政訴訟の主張(無効の行政行為と時効をめぐる問題点;私人の公法行為―申告を中心として;道路に関する諸問題 ほか)
5 国家賠償(国家賠償における結果回避可能性と予見可能性;国家賠償法二条の瑕疵と賠償責任)