内容説明
音楽史上の巨峰として燦然と聳え立つバッハ―その研究の原点をなすフォルケル著『バッハ』の名訳とあわせて、バッハの作品に深く聴き、洋楽の精髄、究極の音楽美、無尽蔵の醍醐味をひたすら掬み続けた故人が語り綴ったバッハ理解の先駆的業績を収録する。バッハ音楽愛好家にとどまらず、クラシック音楽ファンには必読の書。
目次
ヨハン・ニコラゥス・フォルケル著 ヨハン・セバスティアン・バッハ
バッハの精神史的基盤
ルターよりバッハまで
バッハの洋琴曲について
「シャコンヌ」雑考
音楽とレアリスムス
著者等紹介
田中吉備彦[タナカキビヒコ]
1903年に生まれる。1927年、東京帝国大学法学部卒業。1949年より法政大学法学部教授を務めた。1958年7月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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salvia
2
法学者である田中吉備彦(三淵忠彦の知己)が、忘れられていたバッハを蘇らせたフォルケルのバッハ研究の古典を訳し、また自らのバッハや音楽に対する思いや理解を綴っている。バッハの息子たちの友人でもあったフォルケルのバッハ絶賛を田中の註がバッサリと正しているのが、人間臭くて面白かった。哲学との考察を展開した『音楽とレアリスムス』は難しいが、昭和の知識人の音楽に向かう真摯さは新鮮であった。「(ルター派の信徒バッハにとって)音楽は神礼拝・宗教である」とより深く理解できた一冊だった。2024/12/23