出版社内容情報
2019年度の小説誌に発表された短編から精選した、傑作11編を収録。
収録作品/「ゴスペル・トレイン」川越宗一(第162回 直木賞受賞作家)/「太郎庵より」奥山景布子/「仮面舞踏会」林真理子/「あかるの保元」村木嵐/「宇都宮の尼将軍」簑輪諒/「沈黙」佐々木功/「鴨」矢野隆/「雪山越え」植松三十里/「脱兎」大塚卓嗣/「剣士」青山文平/「貸し女房始末」浮穴みみ
内容説明
2019年度発行の文芸誌に掲載された作品群から11の短編を精選収録。北海道開拓に向かう旧尾張藩の男女を描く奥山景布子「太郎庵より」、大河ドラマの原作になった『西郷どん!』のスピンオフ的な作品である林真理子「仮装舞踏会」など、歴史時代小説の名手たちが紡ぐ多種多様な物語は、至福のひとときを与えてくれる。浮世を忘れ、読書の愉しみに浸れる絢爛たる年度版アンソロジー。オリジナル文庫。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
156
11名の作家による時代小説アンソロジー。初読み作家さんもいて楽しみに読んだ。時代の変換期がテーマのような・・そんな色々11話。流れ流されて人はそれでも生きていくのだなぁを感じた。好みは奥山さん佐々木さん、青山さんに浮穴さんと言ったところか。2020/07/18
Mark
23
先日参加した歴史教室で、松平康俊公の話を聞くことができました。あまり知られてはいませんが、桶狭間のあと今川への人質として駿府に居た家康公の異父弟。信玄が駿府を落とした際、そのまま甲斐に連れ去られ、幽閉されていました。徳川・武田が直接対峙する中、過酷な扱いを受けていましたが、徳川方が厳冬期の甲斐から彼を救い出す物語です。凍傷で足の指をすべて失い、武功をあげられなくなってしまった弟に掛ける家康の言葉が印象に残ります。2023/04/12
サケ太
15
様々な短編が読めるのが楽しい。「ゴスペル・トレイン(川越宗一)」、「宇都宮の尼将軍(簑輪諒)」が個人的に面白かった。2021/10/31
ふわりん
9
知ってる作家さんは少なかったけど、どんな小説が読めるのかと楽しみにして読み始めた。奥山景布子さん、林真理子さんまではすいすいと読んでいたが、その次、またその次、とちょっと私の苦手な分野の話になり斜め読みしてしまった。最後の三篇、お初の川越宗一さんと青山文平さん、馴染みのある浮穴みみさんは面白かったので、結局半分読んだだけでも満足だった。いつも読んでる時代小説を期待してたので、まぁ期待外れということにはなるんだけど、せっかく知らない作家さんが読めると思ったのに根性なしで半分は諦めることになり残念だった。2020/11/21
あここ
7
時代物でもいろいろ。前の話を引きずってたら、は?ってなる(笑)お妾さんが鴨さんと殺されてしもた旦那の話が印象に残る。友達の勝手な会話。おまえらが何を知ってるねん。経緯も知りもせんと何で悪者にしてるねん。憎め忘れろなんて指図すんな。旦那の当惑がよう分かった。でもこんな人らに一緒にいて欲しいって理解できん。ガラシャの旦那話も面白かった。責任丸投げ親父へのどろどろ。玉子への愛憎で屈折。乱丸の兄さんなかなか非道。人質に取られた息子を殺そうとする親父。え?どんな顔して戻ったん?家康弟の脱出劇。人質の明暗。家族が怖い2021/08/11