内容説明
学識と技倆のある手術師か、はたまた災厄をもたらす放浪のいかさま師か?古代メソポタミア文明から近代ヨーロッパ社会まで、患者の命を預かり、人びとを苦痛から救い出す外科医という職業は、魔術と宗教的迷信に取り巻かれ、曖昧で謎多き存在であった。数千年にわたる職人的開業医たちの興味深い生態を、科学的医学の発展史のなかに位置づけて描く医療文化史。図版多数。
目次
がたがた鳴る窓ガラス―外科学と医学のしっくりしない関係
バビロンの外科医
文字に語らせる者
ヒポクラテスと外科学―対立の調和
ダモクレスの剣の下の外科学
時代のはざまで
外科の崩壊
床屋、もぐり職人と外科医―ロストックからロワまで
外科術の山師
王と首斬り役人と外科医―外科学の効用
最終章 ひとつの職業が押しのけられる