内容説明
近代化の過程において歴史的文化財はどのように認識され顕彰されてきたか。アカデミズムによる歴史学的・考古学的知の発展が、国家ならびに地域レベルでナショナリズム発揚やアイデンティティ形成に寄与した実態を詳細に分析しつつ、史蹟保存運動の価値認識がはらんでいた政治的・文化的・学術的意味を明らかにする。
目次
第1部 史蹟保存の流行とアカデミズム(史蹟保存事業前史―明治初期から一九〇〇年頃における宝物・古建造物・史蹟関連行政;史蹟保存の流行と日本歴史地理研究会;帝国古蹟取調会と学者たち―“顕彰”と“保存”の対立;民間史蹟保存事業と学者たち―京都府綴喜郡井手村・井手保勝会を事例として)
第2部 史蹟名勝天然紀念物保存事業とアカデミズム(史蹟名勝天然紀念物保存協会と学者たち―科学性とナショナリズムの結合;黒板勝美の史蹟保存論;黒板勝美の外遊経験と史蹟保存論―『西遊二年欧米文明記』を中心に;三上参次の史蹟保存論)
第3部 史蹟名勝天然紀念物保存行政の展開とアカデミズム(史蹟名勝天然紀念物保存法制下の史蹟保存行政と学者たち;古代遺跡と地域社会1―神奈川県津久井郡内郷村・寸沢嵐石器時代遺跡を事例として;古代遺跡と地域社会2―山形県飽海郡本楯村・城輪柵跡を事例として)
著者等紹介
齋藤智志[サイトウサトシ]
1980年、神奈川県生まれ。2014年3月法政大学大学院人文科学研究科(日本史学専攻)修了、博士(歴史学)。日本近現代史専攻。現在、秋山庄太郎写真芸術館主任学芸員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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