内容説明
自らの哲学を「どの門から入ってもその中心に達する」街にたとえたショーペンハウアー。従来、多面的で矛盾をはらむと見られてきたその哲学を、「遺稿」発見後の新たな視点から整合的に読み解く。論考と紙上討論とコラムを通して、現代に生きる“共苦”の思想の深部を問い直す。
目次
プロローグ ショーペンハウアー研究の新時代
1 表象としての世界
2 意志としての世界
3 倫理
4 芸術と宗教
5 意志の否定
著者等紹介
齋藤智志[サイトウサトシ]
1962年生。郡山女子大学短期大学部助教授。哲学専攻
高橋陽一郎[タカハシヨウイチロウ]
1966年生。日本大学文理学部専任講師。哲学・美学専攻
板橋勇仁[イタバシユウジン]
1971年生。立正大学文学部専任講師。哲学・日本哲学思想専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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双海(ふたみ)
9
表象、意志、倫理、芸術、宗教などのテーマでその思想を網羅的に分析しつつ、近年の「遺稿」研究の成果をふまえ、ショーペンハウアーの読みの可能性を拡大する試み。論文集なので哲学の専門教育を受けていない私にはわからないところばかりだった。その中でもコラムは面白く読んだ。法政大学出版局の事業に拍手をおくりたい。2025/04/15
マウンテンゴリラ
3
ショーペンハウアーの現代的意味、ということにおいて、私自身も継続的に関心のある仏教をはじめとする東洋哲学との共通点という視点から興味を持った。その共通点と相違点を的確に把握できたかというと、極めて心許ないと認めざるを得ないが、自己あるいは自我の捉え方に若干の違いがあると感じた。しかし、現代的課題の象徴である、人間同士の分断、人間と自然との分断、いずれも人類の存続自体に関わる課題に対して、共に有効な哲学であることは理解できた。私のような一般読者にとっては、それだけでも十分な価値あるものと捉えられた。→(2)2020/08/31
たなしん
0
『ショーペンハウアー哲学の再構築』とセットで。2011/01/26