出版社内容情報
1940年代の〈相互承認〉の倫理学から,60年代以降の「欲求」概念の深化に伴い提起された,「全体的人間」の〈革命〉の倫理学へ,独自の倫理思想の形成過程を探る。
内容説明
意識と身体を有する「本来的人間」にとって、他者との不一致という「原初的疎外」を超えるのは互いの目標追求の自由を認める「相互承認」のみである。この1940年代の「相互承認」の倫理学から、60年代以降の「ローマ講演」に始まり、『弁証法的理性批判』での「欲求」概念の深化とともに提起される「全体的人間」の「革命の倫理学」へ、サルトル倫理思想の形成と転換の過程を探る。
目次
第1部 第一の倫理学(一九四〇年代の倫理学)(サルトルにおける倫理学の構想;本来性のモラル;相互承認論)
第2部 第二の倫理学(一九六〇年代の倫理学)(二つの「ローマ講演」―道徳と政治;「コーネル大学講演」―倫理の無条件的可能性;道徳性の根源―「欲求」の概念をめぐって)
第3部 サルトルの倫理思想の可能性(サルトルの真理論;サルトルにおける他者論の可能性)
結論―本来的人間から全体的人間へ
著者等紹介
水野浩二[ミズノコウジ]
1952年北海道に生まれる。北海道大学大学院文学研究科哲学専攻博士後期課程単位修得退学。現在、札幌国際大学人文学部教授。博士(文学)
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