目次
序章―科学史の対象
1 追憶(コペルニクスの世界の中のヴェサリウスの人間;ガリレイ―業績の意味と人間としての教訓;フォントネル―哲学者にして科学史家)
2 解釈(オーギュスト・コント;チャールズ・ダーウィン;クロード・ベルナール;ガストン・バシュラール)
3 探求(生物学;生物の新しい認識;心理学;医学)
著者等紹介
カンギレム,ジョルジュ[カンギレム,ジョルジュ][Canguilhem,Georges]
1904年フランス西南部のカステルノダリーに生まれる。ソルボンヌで哲学を、ストラスブール大学で医学を修め、バシュラールに師事して科学哲学研究者の道を歩む。バシュラールの後任としてパリ大学科学史・技術史研究所長をつとめ、1955年から71年までソルボンヌの教壇に立ち、科学史・科学哲学を講じた、科学哲学、医学、生物学にわたる深い学殖をもとに、概念の生成を歴史的に究明し、アルチュセール派、ラカンの後継者たち、さらにはフーコー、ダゴニェ、ブルデュー、セールらに大きな影響を与えた。95年9月死去
金森修[カナモリオサム]
1954年生まれ。1995年パリ第一大学哲学博士。86年東京大学比較文学比較文化博士課程満期退学。現在、東京大学大学院教育学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
8
科学史の「言説の対象は科学的言説の歴史性にほかならない」という著者が、歴史の不連続性を受け入れるのは、自らが歴史を捉える際に必要な考える主体としての人間ではなく単なる生体であるという姿勢を貫くからだという。この基点は医師としての著者に患者側をも包み込む認識の記述の契機を歴史に与えると同時に、真理や事実という固定された「消失点」を取り払い、科学史自身の変容をも見据えるように促す。コペルニクス、コント、ベルナール、バシュラールの科学的言説の歴史を記述する本書は、学の限界を画しながら生物の新しい認識を探求する。2024/11/17