出版社内容情報
19世紀イギリスにおこり各界の支持を集めて展開した動物愛護運動の意味を歴史的・社会的な文脈の中で考察。ヴィクトリア時代における文化の諸相を明らかにする。
内容説明
19世紀イギリスにおこり、当時の各界の支配層(女王までも)の手厚い支持を集めて展開した動物愛護運動の意味と役割を歴史的・社会的な文脈の中で考察する。産業革命と進化論を時代背景とするヴィクトリア時代のイギリス、そして同時代のアメリカで、従来の動物観・人間観から脱却して、新しい近代的な感受性をもって動物愛護運動に尽力した人々の思想と行動をたどると同時に、ヴィクトリア時代における文化の諸相、性・痛み・医療・女性・貧困・科学・自然観等々を明らかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
志村真幸
1
19世紀のイギリスで動物愛護運動が始まった理由と背景を考察したもの。 動物愛護運動史の古典的な一冊。いま読むと漫然とした印象が強く、物足りない部分も少なくないが、動物の歴史に関心のあるひとなら目を通しておく価値があるだろう。 ヴィクトリア時代のひとびとの家畜への残虐な振る舞い、動物虐待防止協会のスタートと発展、法的整備、ダーウィニズムとの関連など、ひととおりのテーマにふれられている。そして動物虐待防止運動が、生態学というアイデアと結びついたことで、現在の自然保護へ変革していく道のりについても。2021/06/22