出版社内容情報
1929年??ワイマル共和国末期のベルリンで,社会の底辺にあえぐ350万サラリーマン集団の動態を,徹底した現地取材により解明し,その位相を浮彫りにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Lieu
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本書の「サラリーマン」とはおおむねホワイトカラー労働者のこと。スポーツクラブがサラリーマンの心の「植民地化」を行なっていたこと、美容やスポーツなど涙ぐましいアンチエイジングの努力が行われていたことなど、九十年前のドイツも現代日本とそう変わらないことがわかる。ただ現代日本では、ここに書かれたようなサラリーマンと労働者Arbeiterの文化的差異はあまりなく、正規・非正規の格差があるばかりだ。ドイツは今でも、インテリと労働者では読む新聞も飲むものも違うというが、日本はそうでもない。2022/03/31
drf
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サラリーマンを題材にした最も古いルポルタージュ。1920年代と現代のサラリーマン像は酷く違っているけれども、その像を貫く耐え難い傷痕は共通だ。サラリーマンはプロレタリアートではない。彼らはより上等だという自意識を備えている。その自意識が社会のなかで解体されていくことはなんという悲しみだろう。サラリーマンはプロレタリアート以下の残骸としてここに倒れ伏す。