出版社内容情報
カントは人間の自由および人格への尊敬を断固として擁護し、理性は行為を導くことができると主張したが、その一方で自由の基礎と人間の義務については退屈な説明をしたと非難される。カント研究を基盤に貧困、ジェンダー、教育も鋭く論じてきた女性哲学者が、理性・行為・自由に関してカントの倫理学を位置づけ直し、正義、義務、実例の力、子どもの権利問題などから、実践哲学の新たな可能性を提唱する。
内容説明
哲学がまず着手すべき課題は、思考を方向づける何らかの基準ないし手続きが、なぜわれわれにとって権威を持ち、なぜ理性の基準とみなされねばならないかを示すことである。理性・行為・自由に関して、カント自身が説明する文脈にカントの倫理学を位置づけ直し、正義、義務、人格、他者、合意の問題、子どもたちの権利と生活の問題なども論じて、実践哲学の新たな可能性を提唱する。
目次
第1部 理性と批判(カントの企てにおける理性と政治;理性の公共的使用;『基礎づけ』第三章における理性と自律;行為、人間学、自律)
第2部 格率と義務(行為における一貫性;合意する大人の関係;普遍的法則と目的それ自体;美徳なき時代におけるカント)
第3部 カントの倫理学とカント主義的倫理学(実例の力;子どもたちの権利と生活;倫理学における構成主義;正義と慈愛という偉大な原理)
著者等紹介
オニール,オノラ[オニール,オノラ] [O’Neill,Onora]
1941年生まれ。ケンブリッジ大学名誉教授。英国貴族院議員。オックスフォード大学で哲学と心理学を学び、ハーバード大学でジョン・ロールズのもとで博士号を取得。コロンビア大学、エセックス大学、ケンブリッジ大学などで教鞭を執り、英国学士院院長、英国哲学会の初代会長などを歴任
加藤泰史[カトウヤスシ]
1956年生まれ、名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。椙山女学園大学国際コミュニケーション学部教授、一橋大学名誉教授、哲学、倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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