出版社内容情報
カント平和論とクラウゼヴィツ戦争論を現代の政治状況と照合しつつ再検討し,道徳原理と現実主義の融合による新たな具体的平和戦略=核危機からの脱出の道を探る。
内容説明
カントの平和論とクラウゼヴィツの戦争論を20世紀の政治状況と照合しつつ再検討し、道徳原理と現実主義の融合による新たな平和戦略を提示する。国家・集団・個人間の具体的な「信頼醸成措置」と民衆の非暴力闘争の発展に全世界的な核危機からの脱出の道を探る。
目次
第1章 党派心と考え方
第2章 カントの平和論
第3章 クラウゼヴィツ―戦争と戦略
第4章 平和戦略の方へ
第5章 実際的観点からの反対
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
sayan
16
普遍的な人間としての価値が保証された平和を経験したことがなく、この種の平和に懐疑的だが、今ではそれだけが集団的自滅にとって代わるひとつの安全保障策となっている、と著者は言う。そのため、道徳と戦略との配慮を結び付ける動きが必要とし、信頼醸成機能を核に置く。この文脈で、カント(永遠平和論)とクラウゼヴィッツ(戦争論)戦わせ著者の見解を示す。ロジック展開は非常にプラクティカルでスリリング。中江兆民の「三酔人経綸問答」に登場する3名の役回りと重なる。本書は国際政治・安全保障政策に興味を持つものが手にすべき1冊だ。2019/09/26