出版社内容情報
アウシュヴィッツ体験をふまえて主体と他者との関係を極限まで追究し,〈時間〉を介して〈存在〉からの脱出の途を探る。倫理に基づく独自の哲学の全容を示す論考。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
H2A
9
レヴィナス思想への足がかりになった。この著書にに未知の迫力を感じて他の著作ともども没頭した覚えがある。
うえ
7
「現在からあらゆる予測が剥奪されるとき、未来は現在と共通する性質のすべてを失うのである…未来は絶対的に他なるもの、絶対的に新たなるものなのである」「持続による自由というベルクソンの考え方も、確かに、同じ目的をめざしてはいるが、しかし、それはまだ、未来に対する何らかの力を現在に残している。つまり、持続は創造なのである」「時間の働きは、単に創造による更新ということではないのだ。創造は現在に繋ぎとめられたままであり、創造者にピグマリオンの悲しみをもたらすだけである」2016/03/22
;
6
二人称と抒情詩について考えながら読んだ。2019/03/01
pepe
2
時間を他者との関係から考察している。孤独、死、自由、労働まで考えが及んでいる。実存者が実存するためには孤独が必要であり、孤独は誇り高さであるとするのは腑に落ちた。2013/10/26
佐倉惣五郎
1
『実存から実存者へ』の足がかり。「[…]自我はまったく主導権を持つことなく死に直面する[…]死を克服することは、永遠の生の問題ではない。[…]それは出来事の他者性に対してなお依然として人称的〔個人的〕なものでなければならない関係を保ち続けることなのである。」主体の死によってのみ手放される孤独を、どうにか死ぬこと以外の仕方で手放そうとするレヴィナスからは、後年『存在の彼方へ』においてかけがえのない〈他者〉の〈身代わり〉となって苦しみ自らを迫害するという仕方に行き着くことをこの時点から予感させるものがあった。2024/09/15