内容説明
「考証」の力、「文」の力。近世後期、版本写本による書物流通は一層の広がりをみせ、多種多様な知識が創作出版の場にも流れ込んでいった。作者が作品を構築する際に、如何にその典拠を選びとり、構想したのか。古語や古い文体に対する豊富な知見を、どのように作品と言う形に結実させていったのか。挿絵と文との連環関係は如何に発展的に展開されたのか。山東京伝、石川雅望の作品を軸に、作品の背後にある知的空間、そして、それらを縦横無尽に駆使していった作者たちの営みを、作品そのもの、そして、関連する資料から炙りだす。従来の典拠研究、様式研究とは一線を画す、新たな文学研究の方法を示す画期的な一書。
目次
第1部 京伝作品攷(京伝洒落本の写実;改名という作為―『昔話稲妻表紙』論;京伝と牧之―『優曇華物語』論 ほか)
第2部 和学・和文小説攷(京伝・雅望と和学;附論 考証と戯作;古典再生―『飛騨匠物語』 ほか)
第3部 後期小説の周縁(諸国奇談集の一側面;附論 一九世紀の旅路;七重八重花は咲けども 太田道潅雄飛録論 ほか)
著者等紹介
山本和明[ヤマモトカズアキ]
1962年生まれ。国文学研究資料館教授、同館古典籍共同研究事業センター長(併任)。専門は19世紀日本文学研究。同時代の作品分析をはじめ、書物の形態、古典籍商、蔵書家の動向など多角的に研究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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