内容説明
歌うことが「罪」だった時代―。万葉時代に若い男女が愛を歌い交わした「歌垣」、船唄や木遣り歌などの仕事唄など、古来日本人の生活は歌とともにあった。しかし、明治になり、文明開化の流れの中で、卑猥な歌詞の俗謡、乱酔放歌などの暴行事件などが多発したことにより、放歌―辺りかまわず大声で歌うこと―は野蛮な行為と見なされ、処罰の対象となった。日常生活のありふれた行為であるがゆえに、意識されず、記録に残されることの少なかった「放歌」の歴史を、犯罪記録として残った資料、多数の図版とともに丹念に紐解く。明治の民衆の「歌う文化」を見つめなおす格好の一冊!
目次
「歌う行為」の歴史と「放歌」という視点
第1部 明治の路上放歌と歌う民衆の世界(「路上で歌う行為」が犯罪となった時代―放歌罪の成立過程と展開;路上放歌をめぐる民衆と巡査の市中攻防戦)
第2部 生活や労働の中に根付く「歌う文化」(湯屋という放歌空間;仕事唄を歌う明治の労働者―来日西洋人による「歌う民族」の発見)
第3部 放歌世界から教育訓練型の歌の世界へ(放歌世界と唱歌・軍歌の導入;学生の放歌高吟文化の形成過程)
結び 路上の歌声の変貌―明治から大正へ(デモ行進歌の誕生と展開―政治・社会運動と歌の利用)
著者等紹介
永嶺重敏[ナガミネシゲトシ]
1955年、鹿児島県生まれ。九州大学文学部卒業。元東京大学図書館職員。出版文化・大衆文化研究家。日本出版学会、日本メディア学会、メディア史研究会、日本ポピュラー音楽学会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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