内容説明
明治期の近代化の波は、旧来の和歌・俳句・漢詩・演劇・美術など文芸に関する諸ジャンルにも及んだ。これら諸ジャンルは、小説を中心とする新しいメディアや技法の展開とも関わりつつ、相互に絡み合い、新たな時代における「あるべき姿」をそれぞれに模索していった。「旧きもの」と「新しきもの」の相克と渾沌から見える“可能性”とは何か―「カオス」そのものに文化の「所在」を見すえる新たな視点を提示する。
目次
1 絵画(明治絵画における新旧の問題;秋声会雑誌『卯杖』と日本画・江戸考証 ほか)
2 和歌・俳句(“書評” 青山英正『幕末明治の社会変容と詩歌』合評会記;子規旧派攻撃前夜―鍋島直大・佐佐木信綱を中心に ほか)
3 小説(仇討ち譚としての高橋お伝の物語―ジャンル横断的な視点から;深刻の季節―観念小説、『金色夜叉』、国木田独歩 ほか)
4 戦争とメディア(“書評” 日置貴之編『明治期戦争劇集成』合評会;絵筆とカメラと機関銃―日露戦争における絵画とその変容)