内容説明
近代日本に大学が創設されたころ、西洋の制度を取り入れるなかで、各大学に歴史学を学ぶ「史学科」が設置された。近世以来の国学・漢学・洋学・宗教学の系譜、当該大学の置かれた場と地域固有史料との関係など、それぞれ固有の背景のもと、各「史学科」は独自の理念や方向性のもとで展開し、近代日本の学的世界を形成した。そして、それらは現在まで受け継がれ、私たちの社会と歴史との関係のあり方をも規定している。帝国大学、植民地・外地の大学、官立大学、私立大学より十三の特筆すべき大学・機関を抽出。修史事業の開始した一八六九年から一九四五年に至るまでの、帝国日本における史学科・研究機関の歴史をたどる。比較史的アプローチより近代社会における史学科の展開と特徴を明らかにする画期的成果。
目次
史学科をめぐるヒストリオグラフィー
第1部 帝国大学(東京帝国大学における史学と国史―史料編纂事業との関わりと卒業生進路から;史料編纂所の歴史家たち―相田二郎を中心に ほか)
第2部 植民地・外地の大学(京城帝国大学法文学部の史学系講座とその歴史学研究―台北帝大、満洲・建国大学との比較的視点を踏まえた考察)
第3部 官立大学(東京商科大学における日本史教育;広島文理科大学・広島高等師範学校における歴史学)
第4部 私立大学(早稲田大学史のなかの歴史学;独立自尊の歴史学―田中萃一郎と三田史学の展開 ほか)
史学科の比較史へ
著者等紹介
小澤実[オザワミノル]
1973年生まれ。立教大学文学部教授。専門は西洋中世史・北欧史・史学史
佐藤雄基[サトウユウキ]
1981年生まれ。立教大学文学部教授。専門は日本中世史・史学史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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