内容説明
聖俗両社会を結びつけた密教の祈祷、修法はいかなる仕組みで勤修され、継承されていったのか―。中世において密教の修法は、現世利益を求める公家・武家の要請によって盛んに勤修されてきた。本書は、真言密教を伝持する醍醐寺に伝わる聖教を主に活用し、修法勤修と相承の仕組みについて「修法論」「法流論」「史料論」という三つの柱に基づき考察したものである。第1部では、修法を実現するための諸要件について検討し、第2部では真言密教の中核的法流たる三宝院流の存続を支えた修法とその相承の実態に迫る。第3部では、修法の勤修と相承の場で生み出された史料の性格や機能を考える。聖教の「中身」にふみ込み、社会史的な観点で真正面から修法をとらえた研究である。
目次
第一部 修法の勤修空間(修法と本尊―仁王経法と仁王経曼荼羅―;修法と「荘厳」;台密・東密の共同勤修―北斗法を通して―)
第二部 修法と法流(三宝院流の創始―勝覚・定海とその功績―;偏智院成賢と三宝院流;三宝院流と仁王経法)
第三部 修法をめぐる文書・聖教(修法と「巻数」―寺院文書の一側面―;修法と「抄物」―頼瑜撰「薄草子口決」を素材として―;密教寺院と「口決」―道教撰「遍口鈔」を通して―)
著者等紹介
西弥生[ニシヤヨイ]
1977年埼玉県に生まれる。現在、種智院大学人文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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