出版社内容情報
近代日本人の精神的支柱でありつづけた漱石の文業は,今も強く私たちにはたらきかけてくる力を持っています.先の見えない閉塞感にとらわれがちな今,漱石から学ぶべきものは決して少なくありません.1993年に刊行を開始した新しい『漱石全集』をより充実させ,ここに再刊します.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
風に吹かれて
20
博士号取得を目指している小野さん、小野さんに愛させようとする藤尾さん、藤尾さんの兄で神経衰弱の甲野さん、甲野さんの友人の宗近さん、宗近さんの妹の糸子さん、それから小野さんが五年前まで京都で世話になり親交のあった井上先生親娘、娘は小夜子さん。誰もが未来を見ながら生きている。そこへ五年前までの、小野さんにすれば過去の世界がやって来る。心理も写生される場面が重ねられていくにつれて、展開の細部を忘れている久しぶりの再読はアガサ・クリスティーの家族小説を読んでいるようにスリル満点だった。面白かった。2021/03/17
はな
10
難しい文章表現が多く、読み進めるのにかなり時間がかかった。作品全体の印象としては、なんだか現代の昼ドラを見ているような背徳感を感じた。登場人物が多く複雑な人間関係なので、理解するのに苦労するが、それぞれの個性がちゃんと活きていて素晴らしい。印象が薄かった宗近が後半どんどん巻き返していく勢いがすごい。内面的に彼が一番大人だったような気がする。『まじめ』の語りに感銘を受けた。2015/08/16
algae
2
あふれんばかりの美文に頭がくらくらします。まるで濃すぎる香水のにおいを嗅いだときのような。2017/01/24
イブリン
0
新潮文庫を読みながら。やっぱり注解はこっちの方が詳しい。2011/11/14




