内容説明
社会的・文化的に最も劇的な変容を遂げた幕末明治期において、「詩」や「歌」なるものは、いかなる政治的社会的役割を担ったのか。これらの文芸ジャンルに何が期待され、その概念に託されたものは一体何だったのか―前近代以来継承された伝統文芸としての和歌、そして明治十年代に欧米詩の模倣から始まった新体詩の展開を、前近代から近代へと続く史的展開のなかに位置づけ、政治史や思想史・社会史・文化史など複合的な視点から、社会的行為としての文芸の営みを鮮やかに描き出す快著。
目次
第1部 幕末明治の政治と和歌(孝明天皇と古今伝受―附・幕末古今伝受関係年表;近世後期の和学における和歌と教化;幕末の仙台における藩政と和歌―保田光則編『訓誡歌集』をめぐって;国体と和歌―水戸藩による『明倫歌集』の編纂について;教導職の万葉選歌―国民教化と和歌)
第2部 “草莽”と和歌(連鎖する志―安政の大獄における水戸“義民”の詠歌;尊王攘夷歌の史的位置―『新葉集』受容と幕末の類題集;志士の歌を読む;幕末の志士はなぜ和歌を詠んだのか―漢詩文化の中の和歌;振気から教化へ―勤王志士詩歌集のゆくえ)
第3部 新体詩と「歌」(『新体詩抄』における「歌」;『新体詩歌』の出版を支えた人々;近世韻文としての新体詩―『新体詩抄』と『新体詩歌』をめぐって;七五調の幕末明治―今様評価の変遷と加藤桜老編『古今今様集』;与謝野晶子の星の歌―『みだれ髪』と土井晩翠)
著者等紹介
青山英正[アオヤマヒデマサ]
1972年生まれ。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業、東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程単位取得退学。博士(学術)。駿台学園高等学校・法政大学・中央大学非常勤講師等を経て、明星大学人文学部日本文化学科教授。専門は19世紀の日本文学(特に詩歌)および文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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