内容説明
張恨水は鴛鴦蝴蝶派の代表的作家として長く批判にさらされた。本書は中国近代文学史を大衆の側から書き換える。都市構造、近代交通、映画、メディア、近代建築、近代病理、ジェンダーから作品を読み解く。同時に結末に至る哲学的思索もそなえる。前近代と近代の狭間に揺れ動く作品世界を動的に描写する。
目次
第1部 張恨水作品論(都市小説として『啼笑因縁』を読む;『啼笑因縁』をめぐるもう一つの物語;小説と映画化―張恨水『銀漢双星』の場合;張恨水『平滬通車』(上海特急)論―「近代」に乗り遅れた男
メロドラマの中の狂気)
第2部 中国現代文学研究(馬原小説札記;鳥を飼う老人―陳建功と都市;王安憶『長恨歌』―可愛的上海小姐)
第3部 エッセイ(中国のポピュラー・ミュージックあれこれ;新歳時記春の巻 菜の花の思い出;新歳時記夏の巻 海水浴;新歳時記秋の巻 香山に登る;新歳時記冬の巻 厳寒の北京)
第4部 解説とあとがき(読者への想像力―馬原論に寄せて;現代中国の都市文学/市井小説あるいは中国作家にとっての北京、上海―阪本ちづみ氏の二論文を読む;阪本ちづみさんの張恨水作品研究;一冊の本と一人の少年を残して君は逝ってしまった。)
著者等紹介
阪本ちづみ[サカモトチズミ]
1958年生まれ。1981年お茶の水女子大文教育学部卒業。三井物産勤務を経て天津南開大学留学。1994年お茶の水女子大学比較文化研究科博士課程中退。1995年法政大学経済学部勤務。2003年法政大学教授、北京大学訪問学者。2016年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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