内容説明
『方丈記』『無名抄』『発心集』の作者にして、歌人・音楽家でもあった鴨長明。数多くの領域にまたがるジャンル横断的な作者であった彼は、いかなる意図の下に作品を作り出し、何を実現しようとしたのか。長明とその諸作品について、表現・構想を総合的に解明し、その文学史的意義を明らかにする。
目次
第1部 『無名抄』(自らを物語る―「セミノヲガハノ事」から;鴨長明の和歌観―「式部赤染勝劣事」「近代歌躰」から;伝本研究)
第2部 和歌(始発期―俊頼・俊恵・歌林苑;『正治後度百首』の構想;予言する和歌―「もるもすめる」詠をめぐって)
第3部 『方丈記』(「世ノ不思議」への視線;『方丈記』が我が身を語る方法;終章の方法;成立の場と享受圏をめぐって)
第4部 鴨長明と文学史(『発心集』の泣不動説話;鴨長明の「数寄」)
著者等紹介
木下華子[キノシタハナコ]
1975年福岡県生。1998年東京大学文学部卒業。2006年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。現在ノートルダム清心女子大学文学部准教授。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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岡本 正行
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学術本、専門家が研究のために読む本。ただ本が好き、鴨長明が好きだから、何でもいいから読む、そういう人の本ではない。確かに、様々に俯瞰的、総合的に研究されており、学問的には、高度な内容ではある。私は、そこまで本に求めない。あくまでも古典そのもの、長明が書きたかったことを書いて、それを自分なりに解釈し愉しみ、参考にする。古典はそれでいい。 長明がどう生きようとどう考えようと、時代も違う、生き方も違う、あらゆることが違っていて、古典は人生にどれだけ参考になるか、参考にならなくても、自分のためになればいい。2021/01/29