内容説明
備中国新見荘は、生産・生活の空間としていかなる地域社会を形成してきたのか。下地中分の分析から荘園領主や百姓の活動の実態を明らかにするとともに、文献史料とフィールドワークによる複合的な現地調査を通して中世期の潅漑や地名を復原し、地域的特質を明らかにする。また、古来より製鉄地として栄え、荘園開発とも密接に結びついた当地の「たたら製鉄」の復原事業を取り上げ、伝統的村落の保存にむけた取り組みを紹介する。
目次
1 現地からの荘園復原(現地調査にみる新見荘三職―西方・金谷地区の水利と地名;上市地区の地名・水利に見る地頭方の動向―高梁川流域を中心に;公文大中臣氏と製鉄による集落および水田の形成―坂本・千屋地区;高瀬・釜村の信仰・水利・下地中分―氷室神社と亀尾神社)
2 古文書からの荘園復原(鎌倉期における新見荘の地名と下地中分;新見荘田所職文書案をめぐって;室町期荘園の「荘主」群像;中世百姓の身分意識―一四・五世紀の百姓申状を中心に)
3 荘園の記録作成と伝統文化の継承(備中国新見荘の調査と「多層荘園記録システム」;荘園調査成果の共有をめざして;中世たたらの操業;新見市たたら再現事業の経緯)
著者等紹介
海老澤衷[エビサワタダシ]
早稲田大学文学学術院教授・研究院副院長。専門は日本中世史
酒井紀美[サカイキミ]
元茨城大学教育学部教授、現在早稲田大学文学部非常勤講師。専門は日本中世村落・在地社会史
清水克行[シミズカツユキ]
明治大学商学部教授。専門は日本中世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。