内容説明
SATOYAMAとは何か―人びとの暮らしと多様な生き物を育む自然が調和した美しい環境、里山…。日本の原風景を残すエコロジカルな体系を体現するものとして、近年もその意義は盛んに喧伝され、世界的な関心も集めつつある。しかし、このような理解は里山のすべてを捉えているのだろうか。里山なるものが形成されるトポスがはらむ問題、歴史的に形成・構築された言説のあり方を、さまざまな視点から解きほぐしていくことにより、里山という参照軸から自然・環境をめぐる人間の価値観の交渉を明らかにする。
目次
第1部 イメージと場所(里山言説の地勢学―ランドスケープ、場所、ゾーン;なぜ里山なのか―近代の自然言説から;原発のある風景―水上勉『故郷』における里山の変容;日本の景観を飲み込む“里山”;芸術祭と里山・里海―環境美学の視点から;失楽園幻想、サイボーグ、新しいリアリティ)
第2部 せめぎ合う自然と文化(里山―その実態の歴史的変遷と現代的表象;中世日本の「里」と「山」―加賀軽海郷の開発と洪水;絵図に描かれた里山;東京近郊の里山が辿った歴史―横浜市港北区日吉周辺を中心に;「里山の危機」と「竹林拡大」―保護/排除される景観;養生論からみた里山;里と山の相克)
著者等紹介
結城正美[ユウキマサミ]
金沢大学人間社会研究域教授、ASLE‐Japan/文学・環境学会代表。専門はエコクリティシズム、アメリカ文学
黒田智[クロダサトシ]
金沢大学人間社会研究域学校教育系教授。専門は中近世日本文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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