出版社内容情報
聖域とはなにか人間が自然から区別された存在として自らを意識し、自ら同士の社会を形成することで、宗教は生まれた。
人間は、神像や神殿などの表象で宗教観念を表現し、祭儀や儀式などの象徴行為で社会を結びつけていく。
「聖域」は、そうした観念や行為が複雑に交錯する場であり、そこには、人間の精神と身体に抜き差しがたく根付いた社会行為の痕跡が深く刻印されている。
はしがき 浦野聡
序章 古代地中海聖域の精神的・身体的トポグラフィー 浦野聡
? 古代ギリシア
第一章 郊外―古典期のアテーナイ 上野愼也
第二章 奉納物からみた聖域と社会 師尾晶子
? ヘレニズム
第三章 ネットワーク理論と神聖使節団テオリアのネットワーク イアン・ラザフォード/訳:竹尾美里
「ネットワーク理論と神聖使節団テオリアのネットワーク」訳者解説 竹尾美里
? 古代ローマ
第四章 古代ローマ西方の聖域と社会 中川亜希
第五章 皇帝崇拝と聖域―ローマ帝国東方属州を中心に 藤井崇
? 古代末期以降
第六章 後期ローマ帝国における聖域の変容―州民と政府の関係を通じて 田中創
第七章 キリスト教的空間の成立―南ガリアの都市と礼拝 奈良澤由美
最終章 東方における聖堂と社会―リキア西部トロス教会主教座聖堂をめぐって 浦野聡
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ローマ皇帝一覧
あとがき 浦野聡
索引
浦野聡[ウラノ サトシ]
立教大学文学部史学科教授。専門は古代ギリシア・ローマ史ならびに古代末期史。特に、ローマ帝国の社会について、財政、租税制度、生業、位階、宗教、農民などに着目しながら、その構造と動態の解明をめざしている。
主な編著書に、『人文資料科学の現在〈1〉』立教大学人文叢書(春風社、2006年)、『古代文字史料の中心性と周縁性』(春風社、2006年)、Centrality and Marginality of Ancient Documents (Seikokai Shuppan, 2009)などがある。
内容説明
古代地中海。そこはさまざまな宗教が展開した混沌たる世界。宗教の闘技場にもたとえられるその世界は、後のヨーロッパの芸術に豊かな題材を与えたギリシア・ローマ神話を生み、ヨーロッパ人の思考・ふるまい方を支配するキリスト教を育んだ世界でもある。その世界に生きた人々は、やがて各地に叢生した「聖域」を、祭儀の場から信仰の場へと変えていく。キリスト教など世界宗教が人々の心を支配するようになる以前、古代人はどこで何を感じ、考え、お互いの結びつきを得ようとしたのか。「聖域」に注目し、古代地中海世界の精神と社会に迫ろうとする意欲作。
目次
古代地中海聖域の精神的・身体的トポグラフィー
1 古代ギリシア(郊外―古典期のアテーナイ;奉納物からみた聖域と社会)
2 ヘレニズム(ネットワーク理論と神聖使節団テオリアのネットワーク)
3 古代ローマ(古代ローマ西方の聖域と社会;皇帝崇拝と聖域―ローマ帝国東方属州を中心に)
4 古代末期以降(後期ローマ帝国における聖域の変容―州民と政府の関係を通じて;キリスト教的空間の成立―南ガリアの都市と礼拝;東方における聖堂と社会―リキア西部トロス教会主座聖堂をめぐって)
著者等紹介
浦野聡[ウラノサトシ]
立教大学文学部史学科教授。専門は古代ギリシア・ローマ史ならびに古代末期史。特に、ローマ帝国の社会について、財政、租税制度、生業、位階、宗教、農民などに着目しながら、その構造と動態の解明をめざしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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