内容説明
中国における経典漢訳事業を経て、朝鮮半島、そして日本へと広まった世界宗教・仏教。仏教のもつダイナミズムは、新たな思想・文化を伝えるものとして、また宗義上の疑問解決の指針として、ヒト・モノの移動と交渉を伴いながら、その後も東アジア世界に影響を与え続けた。7~13世紀の東アジア世界において、仏教はどのように受容され、展開していったのか。東アジア各国・各地におけるそれぞれの歴史的状況を把捉することで、王権・民衆による選択と咀嚼、儀礼や制度との関わり、交易世界をつなぐ役割など、仏教を媒介として立ち上がる東アジア世界のあり様を立体的に浮かび上がらせる。
目次
第1部 交差する東アジア仏教(隋唐長安城の仏寺遺跡と遺物;杭州における入宋僧成尋の仏教的交流活動;中国と日本の国家仏教;古代東アジアの仏教と民間の国際交易;新羅仏教の展開と特質 ほか)
特別寄稿 入唐僧と旅行記
第2部 東アジアのなかの日本仏教(平安期仏教の展開と転形;日本古代における密教の受容過程;『入唐五家伝』の編纂とその意義;「宗長者」呼称の成立と三十帖策子事件―勧修寺法務寛信編纂史料の検討から;律令期の祭祀・儀礼と官衙・寺院・集落―信仰関係遺物からみた祓の再検討と信仰の地域ネットワーク)
著者等紹介
佐藤長門[サトウナガト]
1959年生まれ。國學院大學文学部教授。専門は日本古代史(古代王権論、権力構造論、渡海僧の研究)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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