内容説明
アイヌ民族の成立を再構成するに当たり、DNAという直接の証拠に基く全く新しい方法によった。また進展著しい北海道の考古学的発掘も非常に価値ある情報を提供してくれるので、最大限参照させてもらった。そしてこのようなアイヌ民族、アイヌ文化の成立を推定することで、アイヌ語のホームランドが、アイヌ民族自身の理解の通り、道央・道北・道東であることも分かってきた。またアイヌ語は地域ごとに異なったアイヌ語諸語の複合体、つまり言語族であるという実態も分かってきた。
目次
第1章 アイヌ民族のDNA多型分析(DNA多型分析;アイヌ民族におけるY染色体分析;アイヌ民族におけるミトコンドリアDNA分析;遺跡出土骨資料のミトコンドリアDNA分析;アイヌ民族の位置づけ)
第2章 アイヌ民族の成立史(シベリアに隣接する北海道の環境;後期旧石器時代;新石器時代;続新石器時代;オホーツク文化擦文文化並立時代;アイヌ民族・アイヌ語の成立)
第3章 アイヌ語の体系(アイヌ語共通の言語学的特徴;釧路アイヌ語の言語資料;音声と音韻;名詞;動詞)
第4章 結論(分子生物学の成果;言語学の問題点克服)
著者等紹介
崎谷満[サキタニミツル]
CCC研究所所長。1954年生。京都大学大学院医学研究科博士課程修了、京都大学博士(医学)。専門は分子生物学、血液学、ウイルス発癌(成人T細胞白血病ウイルス研究)。長崎大学、京都大学での研究を経て、1997年にCCC研究所を設立、所長に就任。その後は、分子生物学(DNA多型分析)がもたらすヒト集団の成立史の客観的分析を中心において、文化・言語の多様性の成立に関する科学的解明に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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