内容説明
中世文学史の中にあって、異彩を放つ自伝的回想記『とはずがたり』は日記文学の白眉である。その筆者であり、後深草院に仕えて「二条」と呼ばれた一女房の人生の軌跡を、概観する。
目次
第1章 後深草院二条の人生
第2章 『とはずがたり』を読む(二条と後深草院;二条と有明の月)
著者等紹介
西沢正史[ニシザワマサシ]
東大大学院修了・昭和女子大学教授を経て、駒沢女子大学人文学部教授・創価大学文学部講師。専攻・日本古典文学(中古・中世の物語・日記文学)
藤田一尊[フジタカズタカ]
大東文化大学文学部大学院修了。元大東文化大学講師。専攻・日本古典文学(屏風歌・中古物語・中世日記文学)
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感想・レビュー
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ゆずきゃらめる*平安時代とお花♪
32
〈日本の古典を読む:第八回〉のイベントより♪「恋衣とはずがたり」と並行して読みました。[二条]の人生は母[大納言典待]によって決まっていたのかもしれない。美人女房なだけに殿方は寄ってくるが、[二条]は断らなかった。それが彼女の恋だったのか。彼女の臨んだことだったのか・・。2017/08/19
きいち
31
「とはずがたり」の著者二条の人生、書くにあたっての固有名詞のぼかしや自己の描写といった語りの戦略を追う西沢パートと、二条と後深草院、二条と有明の月それぞれの関係に注目して本編を抄録し読み解いていく藤田パートからなる一冊。◇西沢パートがおもしろい。いかに自分を傷つけず、自らのこれまでの歩みを意味づけていくか。ぼかすということは、同時代の人間をしっかり読者として想定していたということ。作者二条≠登場人物二条≠実際に生きた二条、そのことを意識して読まなければ。2020/02/01
半色
3
源氏物語や伊勢物語を意識しているというのは、確かに、と思った。だけど少しばかり穿った解釈じゃないかなあ。2014/06/18
りこ
1
伝記だと思ったら、普通に論文だった。意図的にぼかしたのか、書いてるうちに記憶がごちゃっとして書けなかったのかわからないけど、結構自慢話っぽい内容なんだなって思った。当時の朝廷内の中心人物らと、関わりが強かったのがよく分かる。2016/09/06