出版社内容情報
ひきこもるのは男性だけじゃない社会に消された、ひきこもる女性達のリアル。巧妙な言葉選びによって、またこれまでの有識者たちの固定観念によって、社会的に存在が消されている助けを求められない人たちの声を可視化する。
内容説明
ひきこもり問題を追い続けてきた著者が実感した、危機的な日本の大問題。統計から消され、「弱者」にすらなれない―深刻化する「見えない」女性の実態。今まで誰も指摘しなかった、潜在する「女性」のひきこもり。
目次
第1章 ひきこもるのは男だけじゃない(メディアで報じられる「ひきこもり」たち;偏重した報道によってもたらされるもの ほか)
第2章 彼女たちがひきこもる理由(東海地方/Aさん(30代前半)
九州地方/Bさん(40代後半) ほか)
第3章 主婦は「ひきこもり」ではない?(主婦を取り巻く環境;「ひきこもり」対象から外される主婦 ほか)
第4章 彼女たちに必要なもの(居場所の現実;当事者が感じる、男性との違い ほか)
第5章 社会とつながるために(埋もれていくトラウマ;外界から見える世界と内海の世界 ほか)
著者等紹介
池上正樹[イケガミマサキ]
1962年生まれ。通信社勤務を経て、フリーのジャーナリストに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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こぽぞう☆
32
ひきこもりって何がなんでも外に引きずり出さなければいけないのだろうか?私自身について言えば、何とか外に出ようともがいていた頃より、今の、この本で言えば「ひきこもり」の状態になってからの方が、心は平安でいられる。インターネットがなかったら難しいかもしれないけど。なんとか生きていけるだけのものを残してくれた親に感謝かな。2016/07/11
ゆう。
29
著者は従来のひきこもり問題は男性の問題として取り上げられ、女性のひきこもりについては統計そのものから消され社会問題として取り上げられることはなかったと指摘しています。そうしたなかで、本著は女性のひきこもりとはどういう問題なのかを取材などを通じて明らかにしようとした意欲作だといえます。女性は「主婦」や「家事手伝い」などを社会的に押し付けられることで、ひきこもりつつもひきこもりと捉えられない状態があるのだと述べられていました。ジェンダーの視点を取り入れつつ、女性のひきこもり問題を捉えていく必要性を感じました。2016/11/28
うさうさ
28
様々な事情を抱えた引きこもり。同じ引きこもりでも男女で違う評価。「家事手伝い」や「主婦」という肩書きを隠れ蓑にした可視化されない引きこもり。私自身うすうす気づいてたけれど、やっぱりね…という印象だった。「主婦」は後ろ指を指されず、後ろめたさもないけれど、やっぱり社会的引きこもりに違いはないなと思う。でも、その状態を脱出しようともがいてた頃より、そのままの自分を受け入れた今の方がはるかに生きやすくなったなあ。2016/11/20
宇宙猫
21
★★ 実例を何件かあげて、女性の引きこもりの実情を訴えている。女性が数字から漏れているのは良く分かったが、それだけで肩すかしをくったような本だった。2016/07/02
リョウ万代ホーム施主|貯金おじさん
20
家事手伝いの表現は社会として認識しないといけない、引きこもりの病理から女性を遠ざけているんじゃないかと思う。暗い生い立ちや夫婦関係の破綻など、引きこもりへつながるトリガーは至るとこに有り、自分達も無関係では居られない。コミニケーション能力はしっかり身につけないと生きづらいと思う。2019/11/22