内容説明
十一世紀中央アジアで活躍した大科学者イブン・シーナーの著書『医学規範』は古代ギリシャ医学やインド、ペルシャの古典医学が結合し、一般にユーナニ医学といわれてきたものをイブン・シーナーがさらに深く研究・集成したもので、近代医学が興るまでヨーロッパで永く医学テキストとして使われてきた。本書は日本で初めてペルシャ語からの翻訳を行ったもので、イブン・シーナーと『医学規範』の各所を紹介しつつユーナニ医学を知っていただく書である。
目次
第1章 イブン・シーナーの生涯と『医学規範』について
第2章 イブン・シーナーの哲学と万物の構成論
第3章 診断法
第4章 『医学規範』に記載されている治療の基本的な考え
第5章 腎臓と膀胱
第6章 ジェマーウについて
第7章 単純薬について
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
千景
3
世界三大伝統医学のひとつであるユナニ医学の古典医学書『医学規範(医学典範)』の入門書。 古代ローマ・ギリシャで始まった医学が、イスラム圏に流れて発展し、西洋医学の基礎となったという背景があるのですが、本当に面白い。細かく脈や尿による診断法があったようだ。これらの診断法は中国医学でもみられるが、印象としては複合的なもの。対して、ユナニ医学は骨や臓器一つひとつの特徴を押さえ細かく見ていく。これが中国医学と西洋医学の違いなのだろうか。2021/07/20
こずえ
1
医学史。イスラム圏の医学に関する本。身体を4大元素としてとらえるなど医学からイスラム圏の理解にも役立つので人文科学や歴史にも入れた