内容説明
長打を放った四番打者が三塁ベースの手前で突然倒れ、死亡する。たまたまスタンドからその光景を見ていた一人の検事。突然の死に疑念を抱いた検事のこだわりから始まる壮大な謎解き…。社会派ミステリーの先駆的傑作。巻末には不世出の大投手、巨人・沢村栄治をモデルにした短編小説「肩の悲劇」(1958年)を収録。沢村投手は著者が中国東北部で軍隊生活を送っていた時の同僚で、“兵隊にさせられた”職業野球選手の悲劇を哀感をこめて綴っている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スローリーダー
2
検事のほんの些細な疑問から、重箱の隅をつつく様に捜査が進んでいく。多少都合の良い展開と強引な推理でパズルの駒が揃っていく。雲を掴むような事件だったが、全貌が明らかになったら意外に単純な構図であった。昭和の推理小説はレトロな味わいだった。2015/03/10
まめちゃん
2
プロ野球の試合中に死亡した選手の死因に疑問を持った検事が、事件の解明を進めていく物語。小さな事実を積み上げて、核心に迫っていく過程が丁寧に描写されていたと感じた。 現代のサスペンスものには無い、有馬氏独特の表現方法ではないかと思われた。2012/07/10