出版社内容情報
油脂から見えてくる知られざる近代の姿――。人間は自然をどのように利用してきたのか? 捕鯨からプランテーションまでをたどった食卓からはじめる人間と環境の世界史。
【目次】
内容説明
人間は自然をどのように利用してきたのか?身近なマーガリンや石鹸の原材料の変遷を太平洋捕鯨、南極海進出、熱帯雨林の開発などからたどり、政治・経済・環境の複雑な絡み合いのなかから、知られざる近代の姿を鮮やかに描きだす―。遠く離れた海や森とのつながりを照らした、食卓からたどる人間と環境の世界史。
目次
序章 クジラとオランウータン
第1部 太平洋を拓く―高貴な灯りをもとめて(漂民の海;星条旗の翻った海;ユニオン・ジャックの蠢く海)
第2部 南極海を拓く―世界商品化した鯨油をもとめて(ロシアの東進と南進;「生命線」としての南氷洋と満洲)
第3部 熱帯雨林を拓く―代替油脂をもとめて(油脂間競争の興亡と帰結)
終章 食と環境をつなぐリテラシー
著者等紹介
赤嶺淳[アカミネジュン]
1967年、大分県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科教授。食と環境の関係をグローバルな視点から研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
137
ペリーが日本に開国を迫ったのはランプの灯火や石鹼、マーガリンの原料となる鯨油のためだった。日常生活に大量の油脂が求められた時代に、鯨の好漁場である日本近海で捕鯨船が安全に操業できる寄港地が必要だったのだ。明治以降の日本も同じ道を辿り南氷洋捕鯨に進出したが、この頃から鯨油の代用品としてパーム油を得るアブラヤシ栽培のため熱帯雨林が伐採されていく。油脂という商品を求める人の欲望が歴史を動かし、鯨とオランウータンを生存の危機に追い詰めたと知る者は少ない。食と政治と環境は連鎖していると、広い視野から見る目が必須だ。2026/07/01
佐治駿河
41
図書館本。タイトルに「クジラとオラウータンをつなぐ糸」とありますが、本書の大部分を捕鯨の歴史について書かれています。日本だけに留まらず、各国の捕鯨と鯨油について書かれていますが、この分野に興味がある人はどのくらいいるのでしょうか?むしろ終盤に触れられているパーム油とオラウータンの話の方が身近な問題として多くの読者は受け入れ易いように思いました。2026/06/28
まえぞう
28
知り合いの著者からいただきました。日本近海や南氷洋における米国、英国、ロシアの捕鯨と日本との関わりを掘り下げた前半3分の2と鯨油を枕にした油脂を巡る絡まり合った歴史の後半に分かれます。特に後半は未完の様相で、これからの著者の研究に期待が沸きます。2026/05/23
yoneyama
13
テーマも切り口も大好きだし、太平洋探検史も漂流民の歴史も大好物なのだが、なぜか読み進めるのに苦労した。記述が細かすぎるのかな。トリビア的な話は満載だ。日露戦争で捕獲した捕鯨船が、日本の捕鯨産業の起爆剤になり、同時に満州産大豆を世界市場に広めたのが大豆油の始まりなど。マッコウ捕鯨の主目的が照明用の灯油としての油脂だった点、ヒゲのコルセット、アザラシの毛皮など知ると18、19世紀のあれこれの文化史がつながる。油脂がいかに人口増加文明を動かしてきたかという点がおもしろい。鯨油は1960年代まで。2026/07/15
つまみ食い
8
鯨油とパーム油という19世紀〜20世紀前半と、それ以降の現代においてそれぞれ支配的になった油を軸にした近現代史。それは、『白鯨』とジョン万次郎やペリー、マーガリンを繋ぐ、産業とテクノロジー、法制度や国際政治、地理が絡んだ複雑な歴史で、著者が〇〇学ではなく「問題(イシュー)の研究者」と終章で述べているように様々な角度から描かれる。2026/06/28




