出版社内容情報
資本主義と技術が五感を作り替えた! デパート、新素材、旅行からVRまで、20世紀のわれわれの身体と世界の“感じ方”はどのように商品化され政治化されたのか。
【目次】
内容説明
におい、音、手ざわり、そしてデジタル機器の画面の明るさまで―。資本主義と技術は五感を商品にし、日常の体験そのものを設計してきた。都市空間とデパートがもたらした新しい消費行動の感覚、ガラス、プラスチック、セロハンなどの新素材による衛生観の更新、パック旅行やテーマパーク、「パノラマ」やVRまで、身近な事例で百年超の軌跡をたどる、新しい学問分野「感覚史」の入門書。われわれが当然だと思っている「感じ方」は、いつ、だれによってつくりかえられてきたのか。
目次
第1章 感覚史への扉
第2章 都市空間で感じる「モダン」
第3章 感覚を科学する
第4章 素材が変える感覚
第5章 感覚をデザインする
第6章 感覚体験の商品化
第7章 ヴァーチャルな感覚と身体
第8章 感覚の政治性
著者等紹介
久野愛[ヒサノアイ]
歴史学者。東京大学教養学部卒業。デラウエア大学大学院歴史学研究科修了(Ph.D.、歴史学)。専門は感覚史、技術史、経営史。ハーバードビジネススクール・ニューコメンポストドクトラルフェロー、京都大学大学院経済学研究科講師を経て、東京大学大学院情報学環准教授、東京大学卓越研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
とりから
13
感覚の文化史としては、ショッピングモールの誕生あたりが一番面白かった。商品を見るという行為を支えたのは、当時の新素材、ガラスの透明性である。人々はショーウィンドウの中の品物と反射する自らの影の重なりに、消費者としての新しい自己を見た。セロハン、プラスチックなど後続の素材たち。透明ですべすべした表面は中身をありありと見せつつ、対象物との接触を阻む。視認性と清潔への志向。新しい感覚への慄きが、「高層ビルとヌード」という古典SFのモチーフに反映されているようである。2026/05/31
奏市
13
人間は、固定したものではなく、常に生まれ変わっていることを改めて考えさせられた。福岡先生の動的平衡や平野さんの分人主義のように。我々の生活、消費行動がいかに五感に心地よさ・刺激を受けるよう誘導されているかという資本主義への批判的な部分や、感覚に基づく人種差別、偏ったジェンダー観を作り出している構造の説明も含む内容。ヴァーチャルの本来の意味は虚構などではなく、「対象の内にひそかに「実在」している」状態なのだと。とすると、自分にとっては地球が丸いことがヴァーチャル。経験できなくとも心の内に真実としてあるもの。2026/04/29
jackbdc
13
感覚史=感覚+社会学+歴史という解釈を人文的につらつらと綴るエッセイ風。タイトルの話題だって極少で、内容は著者の関心で横道に逸れまくるのだが、陰翳礼讃のように感覚のエモさを深耕する作業は愉しいが体系化には馴染まないのかな。印象に残ったのはパノラマ。横に広い写真の意味かと思っていたが、18-19世紀に実在したエンタメ施設を基にした言葉だったとは知らなかった。パノラマからジオラマが生まれサイクロラマ、そしてVRという資格メディアの系譜は現代のエンタメ装置産業、博物館や万博との連なりを感じられて感慨深かった。2026/03/07
駒場
11
なんとなく感覚(快・不快)って普遍的と思われがちだが、生物学的な感覚器官の働きが同一でも、認識や意味付けは変わるという話。そして感覚と一口に言っても、西洋では視覚が知性と結びつく感覚として優位性が強調されたり(視覚中心主義)、と感覚そのものに対する認識も普遍的ではない。感覚というものを生物学的にだけでなく、人種やジェンダーの視点も含め様々なかたちで研究するということがあることを知った。匂いは他者性や劣等性、支配の象徴として使われてきた話とかね、『パラサイト』じゃん!2026/01/03
読書一郎
11
われわれの感覚「心地よいと感じる音」「よい匂い、不快な匂い」等々は、時代背景や文化によって「作られている」と主張する本です。切り口はすごくおもしろそうなのですが、実際の中身は、割にありきたりの消費社会論、資本主義批判みたいな感じでした。もう少し歴史学のアプローチがほしかったなあ…と思います。若い著者なので今後に期待、かもしれません。2026/01/09
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