出版社内容情報
「秘蔵の洋犬」をめぐる薩摩島津家の20年戦争、くしゃみで鼻から絹糸を出し、恩返しする犬の奇異な伝説、明治天皇に愛された狆(ちん)など、知られざる愛犬の歴史を明かす。
内容説明
時代劇の町中に、洋犬がいたら―。南蛮貿易で来日したダックスフントは、室町時代に目撃されている。唐犬や南蛮犬と呼ばれたグレイハウンドやマスチフは名将たちの憧れの的となり、百人以上が戦死する奪い合い合戦が起きるほどだった。日本人は犬をどう愛してきたか?犬はどう応えたか。歴史からふりかえる。
目次
第1章 戦国・南蛮犬合戦
第2章 誰もが欲しがる武将の南蛮犬
第3章 江戸の世に犬栄え
第4章 あれも狆これも狆たぶん狆きっと狆
第5章 生類憐みの令とは何だったのか?
第6章 薩州犬屋敷―島津家の犬外交
第7章 幕末・犬絵巻
第8章 ツンだけではなく、西郷隆盛の愛した犬たち
第9章 国交われば犬がくる―明治の愛犬家
第10章 華麗なる愛犬界―大正の犬事情
第11章 戦争を駆けた犬たち
第12章 ドッグ・トゥ・ザ・フューチャー―戦後から現代へ
著者等紹介
桐野作人[キリノサクジン]
1954年、鹿児島県生まれ。歴史作家。武蔵野大学政治経済研究所客員研究員
吉門裕[ヨシカドユタカ]
歴史ライター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yukision
55
狆が家族になったことに加え,副題を見て「柴犬が狆?」という驚きで手に取ったが,ほかにも知らないことの連続だった。洋犬が思った以上に古い時代から日本に入っていたようで,洋犬の混じった雑種の多さに納得した。柴犬だけでなく,小型の洋犬も狆,つまり小さいだけで狆と呼ばれることもあったという,なんともおおらかな昔の日本人を垣間見たようだった。日本で作られた漢字「狆」は犬と猫の間という意味でつけられたようで,なるほど,猫のような雰囲気も持つ愛犬を見て納得。2023/06/08
bapaksejahtera
12
我が国の愛玩犬の歴史を眺めた。洋犬に焦点を当てた為、故事について枕草子所載の翁丸に僅かに触れるのみ。南蛮船の渡来で洋犬種が我が国に齎されたが、中野の犬小屋で雄雌分離飼育した位で、抑々動物の育種について自然の摂理に反する事を好まぬ国民性から、犬種維持は困難だった。それ故洋犬の末裔は唐犬に一括りにされ、毛色の変わった者の自称に用いられた。書題の狆は国字であり、小型犬種が猫紛いとして漠然とかく呼ばれたらしい。この他本書では江戸期を中心に犬を巡る話題が網羅される。纏まりに乏しく、流行語が煩わしい乍ら面白く読んだ。2023/09/23
みなみ
8
日本史の犬トリビアをひたすら集めた本。近現代まで入っているので戦争協力に犬を供出した話や戦後のペットまででてきて幅広い。西郷さんの飼っていた犬ネタが面白い。また、狆に章が割かれており興味深く読んだ。犬エピソードを集めているので小ネタとして読むと面白い。さらっと読める。2025/02/21
かりん
5
3:《犬に関する初耳いろいろ。》積読本整理で流し読み。戦国時代などから、日本に唐犬・南蛮犬がいたというのは、考えてみればそうなのだが、ビジュアル的に不思議な感じ! 東郷家と薩州家の二十年戦争のきっかけが犬を盗んだことだったり、唐犬結びという両端を垂れ下げる帯の結び方が流行ったり、島津家がペット外交をしていたり、初めて聞く話がいろいろ。特に、狆が犬と猫の間として捉えられていて区分も曖昧だった話が興味深かった。純血種という概念に鈍感だった大正期から日本犬の基準を作り保護していく過程も。世帯数ではまだ犬派多い。2023/08/20
にゃるねんnnn
3
洋犬がこんな昔から日本に入ってきていた事に驚く。日本画で見るとだいぶ姿かたちが異なるのかと思ったけど、今とそれほど変わらない(笑)まさか定春(@銀魂)の名前を拝めるとは思わなかった(笑)2021/08/07