出版社内容情報
恋愛ロマンス小説の代名詞「ハーレクイン」はどう読まれ、書かれてきたか。ヒロインとヒーローの変遷、フェミニズムとの攻防……偉大なるマンネリ小説からアメリカ社会を読む。
内容説明
世界百十四か国、二十八言語以上で読まれ、恋愛小説の代名詞として知られる「ハーレクイン・ロマンス」。主人公のヒロインが、長身マッチョでエリートのイケメンとすったもんだの末にハッピーエンドを迎えるシンデレラ・ストーリーは、どう読まれ、書かれてきたのか。ヒロインとヒーローの変遷、フェミニズムとの攻防…偉大なるマンネリ小説から、アメリカ社会を読む。
目次
序章 恋は本屋さんで売っている?
第1章 道化師の誕生―ハーレクイン社とミルズ&ブーン社
第2章 ハーレクイン・ロマンス、アメリカへ進出
第3章 ロマンス小説を生み出した十八世紀イギリス
第4章 アメリカ人はロマンスがお好き?
第5章 ロマンス戦争勃発
第6章 ロマンス小説を読むのはなぜ後ろめたいのか
終章 偉大なるアマチュア文学
著者等紹介
尾崎俊介[オザキシュンスケ]
1963年神奈川県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科英米文学専攻後期博士課程単位取得。現在、愛知教育大学教授。専門はアメリカ文学・アメリカ文化。著書に『S先生のこと』(新宿書房、第61回日本エッセイスト・クラブ賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
42
宝塚歌劇団、ロマンス小説&映画…男性からは「女子供のもの」と馬鹿にされていますけれど、一アメリカ文化研究者が気付いたのです…ハーレクインって、すごいビジネスじゃない?って。読者が本能的に理解していることを、オジサマ研究者が苦労しながら導き出してる姿がとてもかわいらしく、何度か「ピクッ」とくる表現があっても、綿密なリサーチや歴史、無名の作者を励ました経営者(作家らにとってパパ的存在だったらしい)の姿などを楽しみました。背景に女性の忠誠心のすごさが立ち上ってきます。裏切らないから裏切らない。参ったか、男子め。2020/03/24
でんか
34
一般書。レビューを拝見して。ロマンス小説の出版されはじめたところから隆盛し、そして現在まで。ハーレクイン社はカナダ発。一般的だったその出版社がロマンス小説を英国から取り入れ、カナダそして米国で出版。その売り上げは右肩上がり。しかし販路をめぐるいざこざからライバル社の出現、そして買収と目まぐるしく状況が変わっていく。それもおよそ50年ほどの間の話でおこった変化であることにおどろく。無論これから先はもっとスピードを上げて変化していくのであろうけれど。所々に差し挟まれる米国のお国事情も興味深かった。面白く拝読。2020/01/02
あさひ.a
32
読んでます!と堂々とは言いにくい、いわゆる女性向け大衆小説の考察。貸本屋制度~ペーパーバックブーム、ロマンス三条件、お国柄による恋愛的道徳の違い、ヒーローの変遷等、興味深く読んだ。ハーレクイン社VSシルエット社のロマンス戦争勃発の章は大変楽しい。ロマンス小説を読むのが後ろめたい理由(負の連鎖)や、読者と作家の近さ(正の連鎖)についてもなるほどである。これは今の日本のラノベやTLにも言えると思う。これからは電子書籍も勢いを増すだろうし、ますます本がどう進化していくかを見るのが楽しみ。2019/12/31
ごへいもち
31
正統派ハーレクインの軽さ気楽さがストレス解消のもと。これからは中国市場なんだって2020/02/26
nishiyan
30
ハーレクイン・ロマンスを切り口にした英米女性向け大衆文学史といえる労作である。英国のミルズ&ブーン社のロマンス小説の再販をカナダで手掛けたことから始まり、米国進出、後発のシルエット社とのシェア争いと出版流通にまで言及しており、興味深い。ロマンス小説の構造と女性の社会進出とフェミニズムが関係する作品の変化、英国と米国での受け入れられる作品の好みの違いまで知ることができたのは収穫ですね。コラムでハーレクインコミックスについて触れているのは嬉しい。作品と漫画家の相性を重視してのコミカライズ。実に手が込んでいる。2020/01/20
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