出版社内容情報
南半球アルゼンチンから初めて選ばれた教皇フランシスコ。南北問題、カトリックの現代史、バチカンに山積する諸問題のどんな状況が彼を生み、教皇となって何をしようとしているのか。
内容説明
アルゼンチン出身の教皇の誕生から六年―。一三〇〇年ぶりのヨーロッパ以外からの選出は、カトリックと宗教世界における北から南への重心のシフトを示す。宗教の役割が増大する現代世界で、バチカンに山積する諸問題に応えつつ、この特異な教皇は、どんな歴史的経緯を負って、どんな未来を果断に拓こうとしているのか。
目次
序章 宗教の復権
第1章 カトリック大陸、ラテンアメリカ
第2章 教皇フランシスコへの道
第3章 バチカンの動向
第4章 アフリカとアジアでふえるキリスト教徒
第5章 民主化を促した教会―冷戦体制崩壊へ
第6章 プロテスタントの拡大とカトリックの対応
第7章 教皇フランシスコの課題と実績
終章 回勅『ラウダート・シ―ともに暮らす家を大切に』―環境・人権・平和
著者等紹介
乗浩子[ヨツノヤヒロコ]
中国・大連市生まれ。東京女子大学文学部史学科卒業。上智大学大学院外国語学研究科国際関係論専攻博士後期課程修了。元帝京大学教授。専攻、ラテンアメリカ近現代史、国際関係史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かおりんご
31
パパフランシスコの伝記かと思ったら、南アメリカのカトリックの歴史やら、世界のカトリック情勢やらにも触れられていた。パパ様のことが少なかったのは残念だけど、歴史は興味深い話があり面白かった。植民地と宣教は切り離せない関係だったからかも。もっと詳しく知りたくなった。2019/05/11
Francis
18
現ローマ教皇フランシスコ様の評伝。蛇足ながら私の霊名はアッシジの聖フランシスコであり、教皇様もこの聖人から尊名を選んでいます。教皇様の評伝と言うよりも、母国アルゼンチンを含む中南米のカトリックと政治・社会の関わりについての記述が多く、かなりの情報量。もっとも私はこの地域のカトリックの情勢についてはほとんど何も知らない状態だったので大変参考になった。終盤の記述で教皇様が進歩主義的な立場の改革を志向していることもよく理解できた。フランシスコ様、あなたのお力でカトリック教会がさらに良き教会になりますように。2019/04/02
紙狸
5
19年3月刊行。ローマ教皇の訪日前の予習に読んだ。筆者はラテンアメリカ地域研究者であって、宗教専門家ではない。教皇フランシスコについて、アルゼンチンの現実が生みだした宗教者というアプローチをとる。「エビータ」で有名なペロン大統領夫妻もでてきて、なるほど教皇はエビータと同時代人か、と思った。(エビータが17歳年上。)アルゼンチンの軍政下で苦労した。貧困層の救いを重視する「解放の神学」派には距離を置いていた。聖職者への道に入る前は、タンゴやミロンがを上手に踊ったという。やはりアルゼンチン人だ。2019/11/16
すい🕊️
2
教皇フランシスコのパーソナルな部分を期待して購入したら、まさかのラテンアメリカだけでなく世界におけるカトリックのあり方をなぞってからようやく教皇に行き着くので、教皇フランシスコが誕生した背景にまで興味がある人でなければ厳しいかもしれません。それから、教皇の呼び方がある時にはホルヘ、ある時にはベルゴリオとなり一貫性を欠いていたこと、誤植が確認できただけで2箇所あったことが気になりました。2019/03/27
bittersweet symphony
0
コンサバティヴな聖職者であったホルヘ・マリオ・ベルゴリオが、いかにして現代的な社会問題にコミットする教皇になったのか、がなぜかオミットされているのが不可解。そしてフランシスコとは直接的な関連性の希薄なカトリックはじめ世界の諸宗教の、欧州以外での歴史と動静が紙面の大半を占拠しております。2019/12/20