内容説明
いま議論を呼び起こしている、夫婦関係破綻後の「子どもの連れ去り問題」。だが、ハーグ条約締結の是非、共同親権制度導入の是非を議論する前に、知っておくべきことがある。それは片方の親による子どもの連れ去りを助長し、肯定する日本の司法のあり様である―。親子の絆を引き裂く日本の「拉致司法」とは。その構図と問題点を「当事者の目」から説く。
目次
序章 ジョン・スミスの悲劇
第1章 「拉致大国」ニッポン
第2章 親子の運命を決める家庭裁判所―組織の問題としての「子どもの連れ去り・引き離し」
第3章 子どもをめぐる裁判手続
第4章 親子の権利と子どもの福祉
第5章 子どもの利益と裁判制度の利益
第6章 日本は“拉致大国”であり続けるのか
著者等紹介
ジョーンズ,コリン・P.A.[ジョーンズ,コリンP.A.][Jones,Colin P.A.]
米コロラド州生まれ。エチオピア、イギリス、カナダで育ち、カリフォルニア大学バークレー校卒業後、東北大学大学院法学研究科博士前期課程を修了し、米ノースカロライナ州デューク大学ロースクール卒業。1994年から弁護士(ニューヨーク州、グアム準州)としてニューヨーク、香港、日本、グアム等で国際商事・通信・金融の法律実務に携わり、現在は同志社大学法科大学院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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林 一歩
16
一概には言えないが、この条約は欧米のロジックで日本にはあまり合致しない気がしている。また、国内の司法や行政が対応できる運用が構築できているかも不透明。微妙な問題ではあるのだけれど。2013/10/12
とりもり
2
日本のハーグ条約批准前に書かれた本だが、批准後も何も変わっていないことを考えれば、本書の指摘は現在でも十分に妥当すると思う。離婚すると、大抵は母親に親権が移り、父親は高額の養育費を支払い続ける一方で子供に全く会えない(ないしは申し訳程度の面会だけ)という人を何人も知っている。離婚したら、親権を有さない親はまるでいなかったようになる制度はおかしいし、自分の肉親を知りたいと思う子供の権利を侵害している。離婚はお互いに何らかの帰責事由があることが多いのだから、子供の福祉のためにも根本的な改善を望む。★★★★☆2021/02/20
いっしー
1
連れ去り問題は結局誰が最終的に被害を被るのか?、それは子供達ではないか?では子供達のためにどうすべきかが大事であり、安易な結論を出すべきではないと感じた。2018/11/30
maylucky
0
家庭裁判所はもう少し人情味のある判断、判決をくだすものと期待していたが、残念ながら普通のお役所で、仕事を如何に効率よくこなすかを至上命題にしている組織だということが良く解った。何らかの判断を下しても強制力が無い現状も驚き。まあ、確かに「犬も食わない夫婦喧嘩」を司法試験合格のエリートが相手にしたくない気持ちも良く解る。しかしながら、子供にとって、たとえ離婚しても親は親。殆どが母親に親権と監護権が与えられ、父親が漂流する現状は大いに問題。もちろん国際結婚の破綻で、海外から日本に子供を連れ去るのも忌々しき問題。2017/02/26
なかにしいきのかみ
0
これはショッキングな内容でした。2012/01/01
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