内容説明
戦国時代とは全国的な戦乱状態が継続的に展開し、その中で政治的な面のみならず、当時の社会・経済全般に対する影響という面からも、あるいは在地民衆の置かれている生活環境の変化に直接関連しているという点からも、重要な転換点になったと考えられている戦乱の時代である。それが政治的にも社会的にも、一応の収束を迎える時期が織豊政権期であり、続く江戸時代の初期から前期をも含む時期に、一定地域支配者の戦国大名、より広域的・全国的支配政権である織豊政権、そして江戸幕藩体制という各時期の権力側による在地支配が、ある部分では変質し、ある部分では同質性を保ちつつ連続していく。そのような時期に、権力側と在地村落レヴェルにおける一般民衆との間にあった、両者の「中間」としての存在であり、権力側の在地支配を規定・規制していた諸階層や諸組織、また各時期における諸々の役職の一部に関する、具体的なその実態相の分析と、その歴史的な意味づけとが、本書の主要な検討課題である。
目次
第1部 戦国・織豊政権期の在地支配(織豊政権期近江の代官支配;織豊政権期近江の在地支配と「下代」;織豊政権期近江の在地「侍分」)
第2部 戦国・織豊政権期の村落組織と村落間結合(織豊政権期近江村落の組織維持と運営;「元亀の起請文」と村落主導層・村落間結合;織豊政権期から江戸時代前期近江の「侍分」と村方騒動)
著者等紹介
深谷幸治[フカヤコウジ]
1962年、東京都北区に生まれる。1986年、早稲田大学教育学部卒業。1996年、東京都立大学大学院人文科学研究科史学専攻博士課程退学。日本学術振興会特別研究員。2003年、博士(史学)学位取得(中央大学)。現在、日本放送協会学園講師
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