内容説明
江戸時代、女性は窮屈な道徳に縛られ、自由ではなかった―一般にはそう思われている。だが、春画本を繙けば、そんな堅苦しいきまりごとを、艶っぽく笑いとばす女たちの姿があった。夫婦も家庭も円満で、夫の遊郭通いの心配もない、そんな実践的な「夫婦指南」の世界。月岡雪鼎の名画で、江戸の女たちと共に笑う。
目次
序章 婚礼道具としての春画
第1章 春画ともじりの機能―『婚礼罌粟袋』対『婚礼秘事袋』
第2章 画家月岡雪鼎と春画
第3章 儒教の徳と春画の徳―『女大学宝箱』対『女大楽宝開』
第4章 女性の声を聞く―『女今川教文』対『女令川趣文』
第5章 心と身体の健康指南―医学書の春画パロディ『医道日用重宝記』対『艶道日夜女宝記』
著者等紹介
ガーストル,アンドリュー[ガーストル,アンドリュー][Gerstle,C.Andrew]
1951年米国生まれ。ロンドン大学アジア・アフリカ研究学院(SOAS)教授。早稲田大学大学院で修士号、ハーバード大学大学院で博士号を取得。専門は近世芸能、近世文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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わす
1
よくある江戸時代は女もセックスを楽しんでいたよっていう本。近年の春画研究は「単なるポルノグラフィーとしてではなく…」とポルノ以外の部分に注目されることが多いが、私としてはポルノの部分こそ知りたい。2024/07/31
non
1
(A☆☆★ '12-76)教訓書や実用書をパロディに書かれた春画本について。前者が家を重んじるのに対し、後者が夫婦の仲を重んじてあり身近。ちゃめっけたっぷりだが、春画本とはこんなにも生々しいものか。著者は外国人である。この国のことさえも外の人に教えられる。2012/04/26
ハンギ
1
江戸時代の男女の間はとても謹厳だったと捉えられやすいが、著者はそうした流れについて反発。女性も春画、春本を読んでおり、セックス教本は花嫁道具の中にも入っていたらしい。また貸本屋が訪ね歩く際にもそうしたものは人気だったみたいだし、内容も男社会の目線を感じるが、女もまたセックスを楽しむべきだというものだったという。本当のところ春画のような、江戸の性文化はまだ十分研究されていないらしいが、恋愛輸入前の日本にも性愛はもちろんあったということを示している。著者は外人の方だが、日本語に違和感が少なくすごいと思った。2011/09/06
Great Eagle
1
江戸時代の堅苦しい儒教の教えと、これを庶民の目でおちょくる実用書でもあったのが春画本。いまでいうポルノかエロ小説みたいなものでしょうか。外国人が書いているとはびっくり。2011/05/02
はるる
0
春画本のイメージが変わった!お嫁さんの緊張を和らげ、夫婦睦まじく幸せになってもらうための親切な教訓本だった。春本は女性のための本だと言えると思う。2013/06/12